Fate/Grand Order STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア- 感想


筆が遅くかなり日が経ってしまいましたが、大千秋楽おめでとうございました。素晴らしい世界を目の当たりにできたこと、その一部になれたこと、とても嬉しく思います。

後を追う形でプレイしているのでどうしても割りを食ってるなあと感じる子もいるのですが、3時間で纏め、原作を知らない人にも通用するような判りやすい物を作る以上、多少は致し方ないかな…という気持ち。


スタッフの方々の敬意にキャストの方々の力が篭った演技が光り、パーカッションの音楽が熱を、アンサンブルの方々のダンスが臨場感を生む素敵な作品でした。皆に観て欲しかった!!

配信をもう購入できないのが残念です。それまでには書き終わる予定だったんですが…筆が遅くて…
また配信してほしい。何度でも買いますから…。


以下内容やキャラクターについての感想です。メインは1人1人言及しているため長めです。今度こそ目次を作ろうとしたのですがやっぱり無理でした。

 

※プレイはこれを書いている時点で7章15節「決戦」まで
FateシリーズにはFGO以外触れたことがありません
※聞きかじった知識・自己解釈が含まれます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ウルク市民

マイクを通して聞こえてくる賑々しい喧騒のお陰で実際にいらっしゃる人数よりずっと多く見えるので、ラフム爆誕後、残った市民の人数を聞いたマシュの「500人、たったの…?」が重く響きました。ウルク市民の生活が垣間見える楽しげな様子に街が燃え、滅びたときの絶望感がより強くなっているように感じます。


いずれ滅びることを知っている彼らが種を蒔くシーンで毎回泣いてしまう。「半年の後にウルクは滅びる」と予見した王の言葉をきっと疑う者は誰もいないのに、それでも滅びる寸前まで命を繋ごうとしてたんだなあ。あるいは植物も命ではあるから、祈りに近い感情だったのかも。

マシュの「収穫が楽しみですね」に微笑む彼らの表情に悲愴感が全くないことに、市民の強さを思い知るようでした。

 

マスター

未だに表記に迷います。主人公?ぐだーズ?

男主人公と女主人公に分かれていたのですが、これもWキャストなのでしょうか。見比べて感じたのは「同じ人間だ」でした。
どっちの方が良かったですか?と聞かれて答えに窮したくらいお2人とも「藤丸立香」だった。マシュが先輩と慕い、他人の心の機微を感じ取り、道徳と信念を優しさで支えるような男の子であり、女の子だった。

わたしは女主人公でプレイしているのでそういう意味で没入感はぐだ子の方が強かったのですが、穏やかな声音や誠実な眼差し、優しげな笑顔がすごくリアル。個性が出すぎていないので他キャラクターとの調和が取れ、でも存在感はある、ちょうどいいバランスでした。

お2人のセリフの抑揚のつけ方が似ているように聞こえたのも「性別が変わっただけの同じ存在」に感じた要因のひとつかと思います。

高めなマシュの声とぐだ子の低めで柔らかい声が重なったときの響きが好き。ジャパネットぐだ男は突き抜けすぎて何言ってるか一瞬判らなくなるところ含めて好きでした。

 

マシュ

かわいくて歌が上手い。これ女キャラほぼ全員に言います。元々好きだったマシュの株が6章で爆上がりしたんですが、ほんとに飛び出してきたみたいだった。

登場時は声が意外と高くてちょっとびっくりしたんですが、違和感はなくすぐに馴染みました。戦闘中の「ハア↑ッ」って声が大好き。ゲームだと特に気にしたことなかったんですが、あの自分の体ほどある大きさの盾を振り回してそれでぶん殴るのってすごいことなんだな…と思いました。

歌声の透明度にも驚きました。透き通るような声がどこまでも響いてすごく綺麗だった。2幕の花の名前を教えてもらう曲(?)が忘れられなくてナナヲさんの曲を聞き始めました。キャッチーで楽しい!

女マスター千秋楽の映像を配信で見た際、カーテンコールの合唱のとき涙で歌えなくなってたことに信頼関係だなあ…と思ってじんとした。カルデア組は主人公たち以外続投と聞きましたが、男女共に数多の苦難を共に乗り越えたある種の気安さというか、心を許し合っている距離感が見えて良かったです。はい!って声を揃えて返事するところもぴったりだった。

理知的で道徳的で献身的。ゲームで何も知らないこちらにマシュがサーヴァントの逸話などを教えてくれて、ロマニやダヴィンチちゃんが補足してくれるのが好きなので舞台でもダヴィンチちゃんが始めた説明をマシュが引き継いでくれたのが嬉しかったです。

 

Dr.ロマン

声を聞いて即わかる!と思った人。舞台の感想を漁ってたらゲームのシナリオのネタバレを踏んじゃいました。やだあ…。でもそれを舞台だけ観た人には判らないよう、プレイヤーに想起させる作りがすごい。

立ち振る舞いやちょこちょこした仕草がリアル。最終決戦のとき彼が叩くキーボードの位置が低くてなんで?と思ってたんですが、あれは我らの状況におとなしく座ってられなくて立ちながらコンピュータを操作しているということでいいんでしょうか。2幕の最初の方で座ってキーボードを叩いていたような気がするんですが…どうだったかな…。

「スタッフもごめんと謝っている!」の言い方がめちゃくちゃ好き。人間の味方なんだからね!でエルキドゥのモーション、サークル設置のときにマシュのモーションの真似をするのが微笑ましくてかわいい。

カンパニーの中で井出さんがパパ、RiRiKAさんがママと呼ばれているそうですが、正に父性のような愛情が滲んだ優しい声音が印象的でした。落ち着きなくわたわたしてるのに聡明で、命に意味はあるのかと問うマシュを諭す、あの言い方がとても好きです。

プロレスの解説もめちゃくちゃリアル。プロレスファンの友人が「こういう解説員いる」って言ってました。

 

ダヴィンチちゃん

美人で歌が上手い。第一声でいやわたしこの声ゲームで聞いたわ…と思いました。ショップの欄タップしたら「いらっしゃーい」って出迎えてくれる声。

宝塚っぽい話し方だなーと思ったら本当に元宝塚の方だった。見識が浅いのでどういう差があるのか説明できないんですが、なんとなく喋り方で判るような気がします。(自分の中の)最近だと『トラベルモード』ミレディ役の麻尋さんとか。

この作品アンサンブルの方も含めて歌の上手い方ばかりですが、その中でも飛び抜けて上手い。2幕で主人公たちが戦地へ向かう際にバックで歌う曲に鳥肌が立ちっぱなしでした。値千金の歌声。

いつの公演だったか失念してしまったのですが、マスターとマシュがカルデアに帰還した際、マシュとロマニが話している横で言うマスターの「ただいま」に温かく「おかえり」と返していたのが強く印象に残っています。

 

アナ

小さくてかわいい。お顔といい身長といい声といい、本当に幼い子供のように見えていたのでお年を聞いてめちゃくちゃびっくりした。なんなら16歳って言われた方が驚かなかった。いわゆるロリ声でもなければ淡々とした話し方なのにあんな幼さを感じさせる声や喋り方ができるのすごすぎる。

彼女の抱える不信感や疑心がおばあさんや主人公たちとの交流を通して氷解していく様が大好き。マーリンへの鋭いツッコミも良い。口が悪くて好きです。

ゴルゴーンと対峙して「私は人間が怖かった!」と吐露するシーンで毎回泣きに泣いて服がびしょびしょになりました(ハンカチを持ち歩きましょう)
あの独白、ゲームと舞台だとタイミングが違うんですね。個人的には舞台の方が見せ場らしさがあって彼女の存在が映えていたように感じました。

ゲームで共に消える瞬間、アナの初めて見せた笑顔にめちゃくちゃ泣いたので舞台でも観たかった…。でも舞台の消える演出も綺麗でしたね。大阪初日の時点では6章の途中だったので彼女の正体を知らずに観たんですが、魔眼についての説明がなくても真名がメデューサって言ってくれたので特に不足していた印象もなかったです。原作未プレイだと判りにくいのでは、という感想を見かけたので。

表に出にくいアナの喜怒哀楽は、ただ表れにくいというだけで強く持っているということがありありと出ていてそれもすごかった。本当は100ある感情の、40だけ表に出ている様やその奥にある出ていない60まで見えるようでした。だからこそ「おばあさんを連れて行かないで」と縋る姿や「ウルクの生活は私の夢でした」と告白する姿の、強い感情が見えるシーンが余計響いたように感じます。

カーテンコールで受け取る資格がないと突っぱねた花の冠を頭の上に翳すのを見て泣いた。でも頭に乗せないのがこう、うまく言えないんですが“最適解”という感じですよね…。そのあともずっと大事そうに抱えてるのを見てまた泣いた。

 

マーリン

胡散臭くて飄々としている印象。もしかすると「FGOのマーリン」の話からは離れるかもしれないのですが(何分きちんと自分の目で見たのは7章15節までのマーリンなので…)、いろんな作品に触れた身として、千里眼を持つ者は全てを知っているが故の(あるいはたくさんの人間を見たが故の)達観があるイメージなのですが、「何故ギルガメッシュの元についたか」という質問に答えているときや、アナに正体を今は明かすべきではないと止めるときなどにそういう達観した空気が口調や立ち振る舞いに現れていて感服しました。

ケープ(マント?)についているポンポンなどの装飾の色味がやけにビビットな上にカラフルで、ビジュアルの色数が少ないマスターやマシュ、アナと並んだときになんとなく異質さがありました。原作のイラストよりもちょっと色がキツめな気がする。意図されてのものかは判りませんが。

飄々としてて胡散臭いくせにピンチのとき颯爽と現れるの格好良くて狡いな〜と思います。ゲームの戦闘前セリフにある「慌てない慌てない。呪文噛むからね」が好きなので「早口で詠唱
すると噛むし…」って言ってくれたのが嬉しかったです。あそこの言い方も好き。

 

イシュタル

セリフ回しがめちゃくちゃリアル。フレンドがサポートに出してくれているので何度か借りたのですが、登場時の「なんですってーっ!?」で聞いたことある〜!!と思いました。

出演者の方々のアカウントをツイッターのリストに入れていたものの、舞台を観るまでは特に誰がどの役かと意識して見ていなかったので初日終わったあとイシュタルってあの大根の人なの!?*1とめちゃくちゃ驚きました。

女神なのに買収されるイシュタルの、神かー!って十字切るモーションが好きすぎる。紀元前だからキリストもいないのに。*2
「2.5割ってぇ、25%ー!?」の動きがちょいちょい変わるのもかわいくて面白かった!配信の男マスターver.で大写しになるエアギターが特に好き。テンション高くてかわいい。これも男マスター千秋楽なのですがそのあと目の下に手当ててびえーんって泣き方してるのもめちゃめちゃかわいかった。ところで立香がギルガメッシュから委ねられた財宝は宝物庫の3割のはずですが、あとの0.5割はどこに行ったんだろう。普通にギルガメッシュに返したのかな。だったら褒めて欲しいよ(ゆとり教育)

恐らく彼女の中で余計な一言を言ったっぽいときの言っちゃった!みたいな「あっ!」がかわいかったです。

 

エレシュキガル

マジでかわいい。お顔がやけに小さくて鼻がめちゃくちゃ高いので本当にお人形さんみたいだった。横顔がとても綺麗。ゲームに比べてあんまり見せ場らしい見せ場はなかったですが、突き放したような態度なのに滲み出る愛情と「私の冥界にこんなにいっぱいの花が!」と喜ぶ姿があまりにもかわいかった。

「我こそは冥界の女主人、エレシュキガルである!」の高らかな名乗りから前奏に繋がる演出がめちゃくちゃ好き。あの冥界降りのシーン、エレシュキガルかわいい…と思って毎回泣いてました。*3

イシュタルと2人で歌うNight&Dayもめちゃくちゃ好き。フォロワーの「イシュタルが上パートでエレシュキガルが下パートなのは天の女主人と冥界の女主人であることの表れでは」という
ツイートに膝を打ちました。2人の音が重なって響き合うの綺麗だったなあ。皆歌が上手すぎる。

ところで肌のツヤが理想的すぎたのでベースメイクとスキンケアについて教えてほしい。何食べて何使えばあの肌になれるんだ…。

 

ケツァル・コアトル

南に戻りマース!原作の喋り方が特徴的なので、彼女の登場シーンで皆さん喋り方を意識して寄せてらっしゃったんだな〜と思いました。イシュタルやギルガメッシュダヴィンチちゃんはケツァル・コアトルほどはっきりとした特徴がないため、似てるー!と思うだけだったので。考えてみればそりゃそうレベルの話なんですが。

彼女のテーマ曲の入りで、高らかで綺麗な声からウノ!ドス!トレス!と凄みのある威圧的な声色に変わるのが好き。あそこから曲が始まるのも良いですよね。

演者の方が現役プロレスラーとのことで、プロレスシーンは圧巻でした。技が決まる度に拍手が起こったのも舞台だと中々できない経験で面白かった!
ロマニの「笑顔です!」で本当に楽しそうに破顔してるのも、ジャガーマンズ(でいいんでしょうか)がケツァル・コアトルの動きに合わせてチャーミングに動くのもめちゃくちゃかわいかった。帰り際に復活した(?)ウルクの民をあしらうように蹴倒すところも好き。

アナとゴルゴーンの対決の際、見てられなくて飛び出そうとしたイシュタルをケツァル・コアトルが制してたのも「お姉さん」感があって素敵だった。そりゃ皆ケツ姐さんって呼ぶわ。今打ってて思ったんですけど飛び出しちゃうイシュタル、ほんと結構人間的ですね。どうしてもアナばっかり見ちゃっていましたがこの辺の2人のリアクションをもっと細かく見れていたらなあ、と今更少し後悔しています。アニプレックスさ〜ん!!再演してくださ〜〜い!!!

 

ゴルゴーン

ゾッとするほどの迫力と存在感。蛇の分体長が大きいというのももちろんあるでしょうが、昏く燃える復讐心を狂気に満ちたオーラが包んで威圧感と風格がありました。

絶対脚で歩いてるはずなのにちょうど足元をぐるっと囲んでいる部分が動きに合わせて揺れるので、まるで蛇が這って動いているように見え、最初目を疑いました。衣装さんすごいなあ。衣装と言えばギルガメッシュの巻いているターバンが光を受けてキラキラと輝くのが「世界の全ての宝を手にした王が身につけるのを良しとするほど気に入っている布」という感じがして好きです。

人類に復讐する、惨たらしく殺してやると目を見開いて口にする様は女神と言うよりは得体の知れない化け物のようだった分、アナに追い詰められたとき、自分を守ってくれる存在であろうキングゥを探し彼に縋りつこうとする弱々しい姿が印象的でした。

本編の話ではないのですがカーテンコールで皆が手を繋ぐ際、たまにアナと隣になったときの2人の様子がめちゃくちゃ好きです。おずおずとゴルゴーンを伺うアナと、そんな彼女に微笑みながら優雅に出す手の美しいこと…
アナザーストーリーともバックステージとも違う、舞台ならではの美しさだなあと感じられてとても好きでした。千秋楽でも見られて嬉しかった。

 


シドゥリ

歌がめちゃくちゃ上手い。高らかで繊細な歌声にずっと聞き惚れてました。特にギルガメッシュのテーマソングの入りが大好き。

楚々とした所作に優しさの中に厳しさと聡明さが滲んだ声音が素敵でした。「そうですよ」って相槌が続く箇所の言い方の差も良かったなあ。主人公に「かわいらしい感じの方がいる」と言われて慌てるイシュタルをギルガメッシュが笑うシーンで、咎めるように彼を振り返るところも彼女の芯のある性格が如実に表れていて好きです。

ラフムに襲われる市民やキングゥを庇うシーンがとても印象に残っています。市民を助けたのもキングゥを助けたのも自分の命よりも“ウルク”を優先する行為で、それはギルガメッシュも側近にするよなあ…と思いながら観ていました。ウルクに賭ける覚悟と意志が強すぎる。本当に芯が強くて格好いい…。

白旗について若干小耳に挟んだのですが、あの台詞あるんならそこもやってほしかったなあ。モーションは一緒なんですっけ。現在イベントに奔走していてラフムが現れたところまでのプレイなのでその辺りのことは判らないのですが…。

シドゥリさん本当に大好きでもう恩人だと思っているきらいがあるので(?)大千秋楽でギルガメッシュが急に呼び止めてお姫様抱っこしたのめちゃくちゃ沸いてしまった。彼なりの激励なのかなあと思うとより嬉しかったです。

 

ギルガメッシュ

王すぎる。最初テーマソングを聞いたとき、歌詞のこの部分に「王に王すぎるは流石にナメてる」と思っていたのですが、本当に“王”そのものでしたね…。
アーチャーのギルガメッシュの勝利セリフである「慢心せずして何が王か」がすごく好きなのですが、王であることの責任や覚悟をその身に背負っていて、でもその重さや疲れを全く滲ませず軽快で、そこに王の誇りを見たように思います。と言ってもGrand Orderの彼しか知らないのであんまり深くまで言えないのですが…。

ギルガメッシュのテーマソングのサビに入る前、「〜すぎる」の部分で黄色の照明がパッと点くのが豪奢で大好き。照明演出も全部素敵だったなあ。あれだけバリバリに踊ったあとすぐ息を整えて台詞を言えるのがすごい。わたしだったら3分は欲しい。動きは多いけど風格は損なわない振り付けも格好いい!振り付けといえば戦地に赴くときのマシュとマスターのダンスが好きでした。女神たちやキングゥがバタバタ動かないのも荘厳で良かった。揺り籠の曲でセンターに来たキングゥの、なだらかな手の振りが好き。キングゥは荘厳とはまた違いますが。

回想シーンで「僕は道具だ」と自嘲するエルキドゥにたわけ!と叱りながら「良いかエルキドゥ」と諭す様にいっそ父性すら感じました。あそこの声音が本当に優しくて…。そういうエルキドゥに対する態度の方が異常だとFateのファンに聞いたんですが、それはめちゃくちゃヤバくないですか?友情でなく友愛という言葉を使うだけある…。すぐ「我が許す」と口にするギルガメッシュがエルキドゥの「質問してもいいかい」という問いに「許可などいらん」と応えるのも好き。

舞台だけの台詞みたいですが「貴様がエルキドゥでないのなら別の名があろう。誇りを持って名乗るが良い」も王らしくて好きです。今打ってて思ったけどキングゥの名前はギルガメッシュにとって口にするに値するものであったんだな…。まあ友愛の対象なので当然と言えば当然なのかもしれないけど、なんだかしみじみ実感してしまった。

3メートルはあろうかと言う高い階段からウルクを見渡すギルガメッシュの、王様然とした姿が本当に格好良かった。今までの人生で見た中でも5本の指に入るくらい素晴らしい情景でした。配信では斜め下からのアングルが入っててそれが欲しかった!!!と思いました。最高…。

たった500人しか救えなかったと落ち込む主人公とマシュを叱咤激励するのも「最後の囮はこの我だ!」と宣言するのもとんでもなく格好いい。王様。「気にするな、めちゃめちゃ致命傷だ!」がすごく好き。
あとサーヴァントとして現界したギルガメッシュのバックに流れる曲がギルガメッシュのテーマソングではなくウルクの曲なのが大好きです。

丘山さんのことはACCAで拝見していたときからすごい方だなあと思っていたのですが、圧倒的な自信とカリスマ性が全身から溢れていて目を瞠りました。(SNSの文章含めて)とんでもない方だなあ…。

 

エルキドゥ/キングゥ/何でもない「彼」

先に言うけどめちゃくちゃ喋ります。DMM*4の男マスター配信でのコメントで1人3役だったと聞いてそっちかー!と思いました。そっちかー!と思った割には「彼」について良く判っていない。

「キングゥとしても偽物」という台詞から、「彼」の魂は「彼」のものであり、その魂に『母さんのために生きる人形』としての役割を塗りつけられたのがキングゥだと言うことなのでしょうか。この辺りのお話詳しく聞きたいなあ。バースデーイベント*5で言ってくれるかな…。(露骨な宣伝)


エルキドゥ(として振る舞うキングゥ)を見て初めに驚いたのが戦闘モーションの再現度でした。この動きゲームで見たことある!!!ってすごくびっくりした。特にスライディングと翳した両手から鎖が出るモーションが好きです。あと地面に手をつくためにしゃがみ込む寸前にニコッと笑うのも好き。
エルキドゥとして戦ったあとは幾らか髪を整えていたのに、偽物だとバレたあとの戦闘では整えず乱れたままだったのが、キングゥのあのギラギラとした目つきと相まって狂気的な印象を受けました。

狂気的と言えば「おやすみなさい」と如何にも慈愛に満ちた表情で微笑んでから「永遠に」でカッと見開いた目に鳥肌が立ちました。そのあとまたすぐに微笑んで、幕が閉まり切る前にスッと表情が消えるのも悍ましく、凄まじかった。

物に憑かれたように獰猛な表情のキングゥとは全く違う、エルキドゥの穏やかで理性的な表情の差に舌を巻きました。もちろん外見は全く変わらないのに(先述した髪はともかく)表情だけでどちらなのかはっきり判るのすごくないですか!?


自分は道具であると律するエルキドゥを諭すギルガメッシュの歌に、最初彼が何を言っているのか判らないといった調子で返す彼/彼女が「新しい色広がる」と歌いながらギルガメッシュの方を振り返り、「君の名前 皆が語る」でさも嬉しそうに笑い、「我の名前 お前の名と共に」という言葉を聞いて涙を流す。ギルガメッシュとエルキドゥのデュエット曲なのですがこのシーンが本当に本当に大好きで。

山﨑さんが受け売りと言いながら「ミュージカルの歌詞は台詞」と言っていたのはこういうことだったのかと強く実感しました。言葉1つ1つへの反応が繊細で、彼の演技のそういうところが大好きなのでそこを男マスターの配信で抜いてくれたのがすごく嬉しかったです。神かー!(イシュタル)

涙を流しながらも喜びを噛みしめるように笑うエルキドゥからキングゥの戸惑いに変化する様も自然で、幸福な記憶を打ち消すように「ボクにこんなものはいらない」と首を振って拒絶する姿に苦しくなりました。


そういえば回想シーンでギルガメッシュがイシュタルに求愛されるシーンでギルガメッシュが断った際、「正しい心と道徳を持った人間の味方」*6の割にはなんとなく嫌な笑い方をするなあと思ってたんですが、エルキドゥとイシュタルは不仲と聞いて合点が行きました。その時点で不仲じゃなかったとしても何か感じ取っていたのかなあと。エルキドゥはエルキドゥで結構ムチャクチャな性格というのも聞いたのですが、その辺りどうなんでしょうか。


ウルクの民たちとマスターたちが心を通わせる裏で都市を滅ぼして回っているキングゥが2メートルほどの高さから飛び降りたあと、捌ける前に振り返るところも好きです。最終目標はウルクである、ということの表れである感じがして。好きなシーンを列挙していたらそれこそ3日3晩かかってしまいそうだ。


ティアマト神の唯一の子であるという自負がラフムによって打ち砕かれるシーンで、貪られながら口にする「こんなはずじゃ」という叫びがあまりにも痛切でした。

彼が新人類や兄弟に固執しているのが垣間見え、ラフムが誕生するときの嬉しそうな表情が正に『下の子が生まれた兄』だったので余計に痛ましかったです。「何を!ボクは同じ母さんの子…!」という台詞も必死にキングゥとしての立場を守ろうとしているようだった。

「こんなことなら、アイツに会いに行けばよかった」と項垂れていて、エルキドゥの記憶がキングゥにこの表情をさせているのだと言うのが如実に伝わってきて、その表現力に脱帽しました。生を諦めていちばんに思うのがそれだから、彼は本当にギルと話がしてみたかったんですね…。他のシーンと照らし合わせることで感情が強まる言葉、素敵だなあ。いちいち感動してしまう。

「良かった、ありがとうが言えて」と伸ばすシドゥリの手を取ろうとして取れないところも好きです。彼もちゃんと手を差し出すんですよ…。倒れるシドゥリに首を振りながら後ずさりをして「ボクはキミのことなんて知らない!」と泣き叫ぶ表情もまるで親とはぐれた子供のようで痛ましかった。

自分を庇ったシドゥリと奪われた心臓にウルクの大杯を充てがったギルガメッシュの言動を理解できないと詰め寄るのも迷子みたいだったなあ。

ギルガメッシュの「ただ一つの天の鎖」という言葉に掬い上げられたキングゥが彼の名前を呼びながら泣いてしまった顔を、隠すように背けたのも本当にエルキドゥとは違う存在なんだなあと思いました。ここのギルガメッシュの声色も優しくて好きです。


ギルガメッシュに「生まれも母親も関係なく好きなことをしても良い」と言われ、最終決戦に現れた「彼」に投げかけられたキングゥの呼び名を裏切るように「ギル、ボクはキミと話したかった」と思いを語る表情も声も穏やかで、でもエルキドゥとはまるで違っていて。わたしはこれをキングゥの成長だと捉えていたので、エルキドゥでもキングゥでもないと明言されたときは天地がひっくり返ったような気分でした。

山﨑さんにキャラクターの理解度で追いつくことはきっとこの先もないんだろうなあ…。いっそ敗北感を覚えるほどの勘の良さと、思考の深さと、それを体現できる表現力がすごい。

それを思うと「ティアマトの息子、キングゥがここに天の鎖の名を示す」と言う台詞も観ていたときとは違う響きを持ちますね。「母の怒りは過去のもの。さようなら、母さん」は母との決別であり、キングゥの自我との決別でもあったんでしょうか。

宝具を使ったあと鎖が張り巡らされる映像がとても好き。同じく鎖が現れるシーンに1幕の虐殺がありますが、それとは大分趣が違う印象。同じくと纏めるのも暴力的な話ですが。エヌマ・エリシュ綺麗だったなあ。その後「さようなら」と薄っすら微笑んで揺れる体と、「彼」に向かって「さらばだ」と応える形で別れを告げるギルガメッシュに観る度泣いてしまった。

現地では見られなかったのですが、配信で自らの生まれてきた理由を歌う「彼」を見つめるギルガメッシュの表情が温かくてまた泣きました。

山﨑さんの演技の、「複雑な感情」と一言で言い表すのは簡単ですが、その複雑さを形作る様々な感情全部を拾い上げて表情や仕草、態度に乗せてくれるところが素敵だなあと常々感じます。

 

ロマニの「──と言うんだよ」や、ギルガメッシュの「──と言うのだ」とオープニングでは聞けなかった台詞が最後の最後で明示されるのがとても鮮烈でした。

「共に生き、共に戦う。それは人でも道具でもない。それを、“友”と言うのだ。エルキドゥ」
「全てが終わったときに、ようやく、その命がどういうものだったのかという意味が生まれるんだよ。マシュ、それを、“人生”と言うんだよ」


エルキドゥの命の意味はギルガメッシュの友人であり、キングゥの命の意味はティアマトの息子であり、そしてきっと、「彼」の命の意味は彼の友人として母を倒し、“人類を守ったもの”だったのだろうと思います。

「彼」がどういう気持ちだったのかわたしには判らないけど、少なからず幸福であったのなら嬉しいな。これくらいなら望んでも許されるでしょうか。


開演前に映し出される用語集が起動画面とそっくりだったり音や映像の多くがゲームからの引用だったりして、「FGOの舞台」を観に来たんだなあという実感にわくわくした初日を、わたしはこの先もずっと覚えているのだろうと思います。

素晴らしい舞台を、景色を、世界を、本当にありがとうございました。また再びあの情景が見られる日を楽しみにしています。


何かございましたらお使いください。長い文章をお読みくださりありがとうございました。
https://marshmallow-qa.com/omaenannyanenn?utm_medium=twitter&utm_source=promotion

*1:https://twitter.com/YasakaSaori

*2:舞台にも原作にも関係ないのですがガチ女神(メソポタミア神話)のイシュタルと聖母マリアに纏わる話が興味深かったです

*3:わたしはウルクのテーマ曲のコリアンダー!で声が揃うところで毎度泣くほど情緒が壊れています

*4:他の配信は確認していないのでコメント動画があるかは不明です

*5:http://yamazaki-birthday.info

*6:ロマニが熱く語るのをぱちぱちと瞬きをしながら聞くエルキドゥ(キングゥ)がかわいかった