One on One 36th note『呼吸する島』ネタバレ感想

期間:2025/06/19(木)〜6/29(日)

劇場:赤坂RED/THEATER

 

あらすじ(公式サイトより)

今ではない今
ここではない場所
そこにその島は存在する


吟遊詩人は懐かしそうに語る。
あの島について…

 

魔法使いの卵ソウマは、ある日浜辺で、記憶の一切を失くしたエマと出会う。
海の向こうに浮かぶのは、かつて伝説の王国が栄えたという…再生島。
王国はなぜ滅亡してしまったのか?
それを知る者はいない。
彼女はその島からやってきたのか?
なぜ彼女は記憶を失ったのか?
ソウマはエマと共に島へ渡り、アンナ、カイト、メイ、シーラたちと出会っていく。


その頃島は、触るものをすべて腐らせていくという魔物の出現に混乱を極めていた…。

 

島では、還元石なるものが掘り出されていた。
「全てを元に還(もど)す石」

 

開けてはいけない『パンドラ』の箱。

 

その島は生きていた。
確かに生きていた。
呼吸をしていた。

f:id:omaenannyanenn:20250630012341j:image

 切なくて美しくて、観る人々の心に寄り添ってくれるような作品でした。

 まず没入感がすごい!開演前から一面に広がる真っ白な世界が期待感を煽り、波のさざめきと共にお話が始まって一気に世界に入り込んだ感覚に。

 今回前売り券は完売、日によっては僅かに残っていた当日引換券も初日が終わったあとに完売してしまったのがすごく惜しい作品でした。もっと観たい人に観てほしかった〜……。でもあの小さくて音が綺麗に響くレッドシアターで観るからこその良さがあり、あと個人的に前回のSide by Sideがここだった思い入れもあるのでレッドシアターなのは嬉しくてちょっと複雑。

 前回のSide by Sideの感想です。未見の人はわたしと一緒に円盤を見ましょう。こちらも大好きで特別な作品です。

 文章を書いている最中にLIVE配信が終わってしまいました(いつもの)。なのでDVDを、買おう!

 こちらの記事はがっつり内容に触れた感想かつご覧になっていること前提の文章です。そしてワンスタライブの終了後配信同時視聴配信(YouTubeで見られますので舞台名で検索してみてください)の内容にも触れますので未見の方はそちらも是非。DVD予約はこちらから→http://oneonone.shop-pro.jp/?pid=187180624

 また、台詞や歌詞、上記配信での発言の引用が記事に含まれますが記憶を捻り出しているものであり、正確さには欠けていますのでその点ご留意ください。

 

 以下、キャラクターとキャストに踏み込んだ感想です。自己解釈を多大に含みます。

 

 

ソウマ(演:今牧輝琉さん)

 偉大な魔法使いになることを夢見るひよっこ

 

 今牧さんは新テニミュ、4thでの越前リョーマ、No.6での紫苑役で拝見して以来でした。なので主演(No.6はW主演だけど)をされている舞台でしか拝見したことはないのですがキラキラとした存在感があって、ジャンプの主人公然としている印象があります。

 内から溢れ出すような感情表現とそのリアルさが魅力的なので今回もとても楽しみにしていました。同時視聴配信にて阿紗子さんが「(シーンの)主役を引き立たせられるのがすごい」というようなお話をされていて、なんだそれ無敵か?と思いました。オーラの引き算ってできるんだ……。

 

 未熟で、だけどひたむきで、純粋。そんな瑞々しいソウマが成長していく姿とその過程がとても良かったです。

 

「エマを守る、守りたい」と度々口にするので魔物以外、と言うか大陸にも何か脅威があるのかな?と思っていたのですが、特に触れられず。でも特に脅威と隣り合わせではない、少なくとも身近に感じずにはいられているわたしでも親戚の赤子の面倒を見ているとこの笑顔を守らなきゃ……と思うので、そういう感じなのかもしれない。

 と言っても物語には特に関係のない部分なので、この世界での魔法使いの存在や立ち位置などついての説明が必要最低限なのも良かったですね。船に乗る際に魔法使いが申告しないといけないルールは気になりましたが、特に明かされなくてもモヤモヤして後に響く……!みたいな部分ではないのでその辺りのストレスがなく楽しめました。良い脚本。

 

 ソウマの強くなりたい理由にエマの存在が大きいのはもちろんですが、何よりも「自分が胸を張りたいから」というのが、良いよね……。

 ネタバレ感想なのでここで書いてしまいますが冒頭で「あなた、魔法使いなの?」と聞かれて物理的に胸を張る吟遊詩人に2回目以降から泣かされっぱなしでした。*1

 

 カイトと特訓し鍛えられてハイ急に強くなりました、ではなくて最後の局面できっとその時点で何より大切なエマのことを他人に委ねてしまう、弱さが拭いきれないところが好きでした。

 ソウマは自分の未熟さに慣れ過ぎていたのかな、と思います。一歩を踏み出して外側、魔法の能力や戦う力は強くなってもまだ踏み出す前の無力感や焦燥感みたいなものが彼の中で燻り続けていて。それを解消してくれたのがカイトの叱咤であり、エマとの別れだったのでしょう。

 

「彼女には笑っていてほしい」とエヴァの記憶を消したイベルと「記憶を取り戻せばきっと彼女は笑ってくれる」と考えるソウマの対比が良いですね。

 

 ソウマのまっすぐな心がそのまま表れていふような歌声と抑揚の効いた台詞回しが好きです。その2つが組み合わさった「わか⤴︎ってるんだ」が大好き。

 エマと出会って旗を出してしまうシーンの直前、自分が花を出したことに思い至って、そうだ!って表情をする細かさが好きで毎回楽しみにしていました。

 あとイベルとエヴァの回想での「あなたの話も聞かせて?」の言い方も好きでした。親しみと優しさが込もっていて柔らかい声。

 

 あとやっぱりエマとの別れの『俺は魔法使い』での「ほら笑った、笑ってくれた」の安堵が滲むような柔らかさが良かったです。エマに対しての自分がどうにかしたいってエゴからまた一歩進んで、相手の幸せを願える人になったのだなあという感慨がありました。

 もう何も残っていないと思っていた島で咲き誇るローズマリーを見て、またひとつ強くなれているといいなあ。

 

 

カイト(演:安井一真さん)

 魔物討伐のために島へやって来た元魔法使い。

 

 お名前は何度も聞いたことがあったものの、舞台ででもイベントや番組でても実際拝見するのは初めてでした。

 開演前インタビューにてご本人と役が真逆と仰っていてそうなんだ〜と思っていたのですが、今牧さんの配信番組である「まぴ先生といっしょ!!」で泰江さんとのゲスト回を視聴したところ素直で気立ての良い方という印象を受けました。ニコニコチャンネルに入会すればアーカイブはいつでも見られるのでオススメです。3人の学ラン姿も見れるぞ!

 

 ぶっきらぼうで一匹狼。に見えて初対面のエマが訳ありなのを察して顔を隠してあげたりソウマの稽古をつけてあげたりとなんだかんだ面倒見が良く、そして、ずっとそうやって人と関わりたかったのかなと勝手に思っています。

 

 堰を切ったように歌うカイトに同時視聴配信での浅井さんが「一度開いた心の閉じ方がわからないんだろうね」と仰っていたのがとても印象的でした。

 

 話に一切出てこないので恐らく「最愛の母」が彼にとって唯一の肉親で、そんな母を失い、縋る思いで単身乗り込んだ先で頼りを見つけたと思ったら失敗してしまう。
 明言されていないもののカイトに与えられた選択肢とは「完全には蘇らせられないが、それでもやるか?」というようなものだったでしょう。そして選び、もう一度会いたいと願った母は自分に傷をつけて消えてしまった。そしてその頼りには「選んだのはお前だ」と突き放される。

 

 シーラに会わずに過ごした10数年が彼にとって暖かいものではなかっただろうというのはただの想像ですが、当たらずとも遠からずかと思います。
「魔物はすぐ朽ちてしまうもの」という認識だった だろう彼がいつかのために1人で鍛錬を積んでいた……かは謎ですが(でもそういう目的でもないと生きられなかったかもしれない)別れの挨拶も必要にならないほど他者と関わらず、自責に押し潰されそうになりながら孤独に生きていたのかなあ。
 エマにかけてあげることになる布をカイトが被っていたのも他人との関わりを極力避けるためかなと思います。

 

 カイトのソロはいつも、ずっとこうやって誰かに聞いてほしかったんだろうなと思いながら聞いていました。言いたいけど言えなくて、言えないけど言いたかったのかなって。

 

 ところで魔物に襲われたあと彼へ「そんな風にしたやつを恨んでいるか、俺のやったことは間違いだったのか」と尋ねるシーンの度にやめてくださいよお!!と思ってました。
 うちの魔物さん今やっと理性に打ち勝てたとこですよ!?これはモンペ的感情ではなく社長の禁煙を応援する平社員の人格です。なんの話?

 

 同時視聴配信にて、浅井さんのお言葉だけど元は安井さんが仰ってたのかな?
「ソウマと自分が重なるから厳しくしてしまう」ってお話も良かったですね。
「呼吸する島」がジャンプで連載されてたらカイトって人気投票1位だろうな……。

 

 クールに憎まれ口を叩くところとたまに見せる暖かさのバランスが好きです。
 抱えるものの重さゆえの爆発もそれまでの彼の生きてきた軌跡が見えるようで毎回何度も泣かされました。
 あとソロでのそれだけ↑のケが好き。

 

イベル魔物(演:泰江和明さん)

 植物が好きな青年。エヴァと出会い愛を分かち合うことで運命が大きく変わって行く。

 

 浅井さやか様いつもありがとうございます。
 前回のSide by SideもNo.6もとても素晴らしくて、またOne on Oneで泰江さんを拝見できること、すごく楽しみにしていました。
 特に今回は浅井さんがXにて「見たことない泰江和明がいます」とポストしてらしたので更に期待でいっぱいだったのですが、その期待を大きく超えた姿でした。

 

 観ている間、特に初日はその卓越した身体表現に目を瞠りましたが終わってみればその悲痛さが良く思い起こされます。

 千秋楽、シーラが歌い魔物が踊る曲『出口なき迷路』の後半で迸るように伝わる悲痛さやもどかしさに気づけば涙が出ていました。
 同時視聴配信で浅井さんも仰っていましたがあれは「空想でエヴァと一緒に花冠を持って踊っていたら体の自由が効かなくなって花冠を取り落としてしまい、現実に引き戻される」という泰江さんが提案した振りらしく、だから心を揺さぶられたのだなあと納得しました。
 あの曲の「飢えと渇きが見せた幻想か」の歌詞があまりにも切ない。

 

 この辺りの詳しいお話や魔物としての身体表現、朽ちてゆく体でアクションできるほど素早く動ける理由については泰江さんがFC配信で綿密に語られているので是非。
 理論や理屈を固めつつ感情と感覚で動ける上にそれらの言語化も巧いので、舞台が好きで役者という職業に興味がある方は面白い話が聞けると思います。

 

 話を戻しますがもし呼吸する島LIVEが実現したら絶対ローズマリー 〜海のしずく〜のインストをバックにイベルとエヴァに花冠を本当に持って踊ってほしくて……。魔物の曲だと悲しくなるのでまたソロで踊ってください。

 

『出口なき迷路』の歌唱がシーラなのもすごく良かったですね。
 あの2人の大事な瞬間に関わっていた彼女だからこその説得力と荘厳な歌声でぴったりの人選でした。 そういえばわたしの言う“魔物”は存在でなく状態の話です。氷を水とは呼ばないので。

 

 魔物がエマに花を渡すシーン、メイの「植物(や動物)の声が聞こえる」という能力から花冠から引き抜いたローズマリーなのかな?って思ってたんですが、浅井さんが千秋楽後のワンスタライブにて「これ(花冠)をエヴァだと思って持って行く」、同時視聴配信では「1輪(だけ)なのがいい」と仰っていたので違うかもしれないですね。
 メイがローズマリーを聞いて歌うときに魔物も踊りながら一緒に歌っているので、理性のあるときは彼が懐かしみながら口ずさむからそれであのエマに渡したローズマリーが覚えていたのかもしれないですね。
 観劇中はもし花冠のお花なら2人の一等幸せな時間が沁み込んでいるんだなと思っていました。
 あのお花を渡す行為、少なくともイベルは記憶の鍵が何かわからない以上(鍵なんかないと思っていた可能性もあるけど)迂闊とも言える行動ですが、理性を焼き尽くされて尚残った感情でエヴァに渡さずにはいられなかったのを思うと、愛だ……。

 

 熱く語るエヴァの姿に思わず笑い出してしまうイベルの表情が特に顕著ですが表情や声色が彼女への愛に満ちて見えるので、愛ゆえの行動であろう全てに説得力が生じているように感じます。

 

 そういえばイベルはエヴァに対して恋をしていると言うより彼女を愛しているように見えるなあというメモを観劇後ふせったーに残していたのですが、イベルの「生まれて朽ちても また生まれる」からのエヴァとハモる「だから初めてじゃない」の“初めて”は2人の前世の繋がりの話で、だからもう一目見ただけで惹かれて恋よりも深い愛に落ち、『一つになろう』で海へと還ったのかな?

 同時視聴配信で浅井さんが「(2人の感情が)恋じゃないってわかる」、「シーラがイベルを殺さなかったのは彼が信じている、命が巡るサイクルから彼を外さないため(細かいニュアンスうろ覚えです)」と仰っていたのでもしかしたらそういう側面があるかもしれない。

 

 イベルがプロポーズとしてローズマリーを歌うときに柔和な声や表情が緊張で硬くなり、エヴァが受け入れてくれたと察してその緊張がほどける様がとても好きです。
 千秋楽後の配信で阿紗子さんがあの歌を聞いて「2回に1回は泣きそうになってた」と仰ってたのが勝手に嬉しかった。

 

 急な地震によろけるイベルの一瞬の動きが人間らしさを浮き彫りにしていて、はっきりと魔物の動きとの差があったのが良かったです。
 死んでしまった理由が「子供を助けて身代わりになった」というところに彼の優しさが表れていて悲しい。
 その後スローモーションで倒れて行って、反動でゆっくりと浮き上がった体が勢いよくぺしゃりと潰れるところ、人が生を失って物体になる過程が残酷なまでにしっかり描写されているように見えて何度見てもハッとさせられたシーンです。

 

 蘇って一瞬何が起きたかわからないという表情をしていたイベルが、エヴァに抱きつかれて自分の生を実感した喜色を顔に広げながら抱き返すのが好きでした。
 イベルに選択権はなかったけど、イベルも魔物になってでもエヴァともう一度会いたいか、と聞かれればそれを選んでいたのではないかなあと思いながら観ていた場面でした。

 

エマ=エヴァに辿り着きかけているカイトが「島民がエヴァを見かけなくなり、程なくして魔物が出現するという噂が現れた」というようなことを言っているので、魔物(完全体)にならずにいたのは彼が理性を押し留められていたから、つまりエヴァが傍にいて彼女を傷つけたくないという気持ちからなのかなと思います。

 

 傷つけたくないと言えばこの作品の見事な部分にリプライズの巧妙さがあると思っているのですが、歌になるほど溢れる想いであるイベルの「触れたい」という切実な気持ちを乗せていたのと同じメロディで「触れたかった君に 触れている今」と歌うの本懐を遂げた描写として美しすぎる上に巧すぎる。浅井さやかさんは天才です。

 拭えなかった涙をやっと拭って、エヴァもイベルにそうしてくれて、そして形のない海に2人で落ちていく切なくて美しい構図、素晴らしすぎる。

 

 泰江さんのその瞬間瞬間の情感が込もった歌声がとても好きなのですが、このラストのイベルとエヴァ(エマ)の「一つになろう」の晴れやかでエヴァの存在をまるごと包み込んで抱きしめるみたいな歌い方も大好きです。

 他にも細かく大好きなシーンはたくさんあるのですが、凄まじい量の羅列になっちゃいそうなので割愛。


 この作品に泰江さんのおかげで出会えたこと、この作品に出演する泰江さんを拝見できたこと、嬉しいという言葉じゃ表せないほどの幸福と感謝でいっぱいです。

 

 

エヴァ(演:門山葉子さん)

 かつて滅びた王国の研究のため島へやってきた考古学者。大体の元凶。

 

 門山さんは舞台FGOバビロニアにて拝見していました。こちらはそのバビロニアの感想ブログです。未見の方はちんぷんかんぷんだと思うので読まなくていいです。

 > 歌がめちゃくちゃ上手い。高らかで繊細な歌声にずっと聞き惚れてました。って書いてありました。過去の自分の感想ながらかなりわかる。

 門山さんのことだかシドゥリのことだか、>恩人だと思っているとも書いてありました。それはわからない。

 

 上で「全ての元凶」という言い方をし、わたしは実際にそうだと思っているのですが、まっすぐ心の示すままに生きていてかなり好きなキャラクターです。

 「のめり込んだらまっしぐらだ」とイベルが評し、きっと彼が彼女の愛しい部分のひとつだったように、彼女の魅力はそこにあると思います。好きな対象に一直線。

 

 エヴァがきっと祈るような気持ちで捧げた、2人の思い出であるローズマリーの花冠から種が零れ堕ち、それが完全だったはずの棺の不純物になってしまったであろうこと、彼女の純然たる愛が裏目に出ているのがやりきれなくて好きです。

 「生き返らせたい」という強い想いの説得力と、人間の弱さが滲んでいて愛しい。

 あの花冠を捧げるシーンで初日には種が落ちる演出はなかった気がするんですが、わたしが泣きすぎて良く見られてなかっただけかもしれない。

 

 キャラクター紹介のところで大体全ての元凶と書いたのは島で何度となく起こっている地震も、死火山が活火山として蘇ったのも、イベルの死のきっかけすら恐らくエヴァの作り出した純度100%の還元石の力によって引き起こされたものだと思われるからです。

 

 しかしイベルの項で書いたようにイベルがエヴァに触れたいと切望する曲。

 別の曲も入ってますが一旦無視して、あれが『一つになろう』と対比した歌詞になっていると考えると、「巡りゆく季節から逸れた命」が、「あなたの全てを受け入れたい」と願い、彼の今の姿とそれに至るまでの過程、かつての死をちゃんと受け入れたからサイクルという名の輪廻に2人で戻れた、とも取れるのではないかと思っています。

 個人的には死んだら終わりだけど2人で幸せに死ねたからよかったね、というのが好みではあるのですが。

「命が巡る」を主軸に考えるとそうなるかもという話でした。

 

 イベルに「僕を殺して」とお願いをされたエヴァが「私傍にいるから、殺してなんて言わないで」と返すのかなりエグいとは思うのですが、よりによってただもう一度会いたいと思って自分を蘇らせたエヴァに言うイベルもイベルだなと思います。

 2人で森の奥に引っ込んでるのでエヴァにしか頼めない、彼の死生観から自殺は禁忌である、というのもあったのかな?とも思うけど……。

 

 こちらは対比の話ではないのですが、「彼の傍で眠った」「怖くはない ここに彼がいるから」と胸の内を語られていたエヴァが、ラストで魔物の力によって自分が腐り落ちることを全く恐怖せずただ「イベルに触れたい」という理由で彼に触れるの、本当にイベルが傍にいれば、イベルを失うことさえなければ何も怖くないんだな……と感じられて良い。

 

 エヴァに必要だったのってイベルと共に朽ちるかあるいは彼のいない世界で生きる覚悟で、ソウマと一緒に過ごすことで彼女もまた成長し、だから洞窟に迎えたのかもしれないですね。

 

 こちらの冒頭の門山さんのお話で触れましたが、FGOでどこまでも突き抜けるようなソプラノの美しさに感動した記憶が鮮烈なので今回One on Oneで浅井さんの作られた曲を門山さんが歌うんだ!ととてもわくわくしていました。

 役どころとしてもエマやイベルとハモる曲が多かったですが一緒に歌う人の声に寄り添いながらぐんと引き上げているようで、それでいてご自身の声も綺麗に響くので聞いていてとても心地よかったです。

 

 指先まで神経が張り巡らされたような優美な動きと、同時配信視聴でも触れられていましたが胡座をかく粗雑さ、“エマ”が初めて還元石を目の当たりにしたときのクックッと動く肩が好きでした。

 

 

エマ(演: 髙橋果鈴さん)

 イベルの願い、そしてシーラの魔法によって記憶を失ったエヴァ

 

 髙橋さんはミュージカル「Shuffle!〜まぜこぜ図書館『若草三銃士物語』〜」にて拝見しました。こちらの脚本・作詞も浅井さんでしたね。

 作中の曲にて「内気で病弱」と評されるベスが必死に踏ん張って懸命に剣を振る姿と、「鈴を転がしたような」という形容詞がぴったりな歌声に感銘を受けたのを覚えています。

 若草物語と三銃士の物語が混ざり四姉妹と三銃士+ダルタニアンが入れ替わる、というお話だったのですが、ベスとアラミスの演じ分けはもちろん声の使い分けがとても印象に残っています。

 アラミスの「私は……」から一息で「ベスだわ!」とベスの美しい声に切り替わる瞬間が好きでした。

 

「記憶を消すということは記憶を持たないお前を作り出すこと」とはシーラの言葉ですが、その表現として役が2人に分かれる、というのが構造的に面白かったです。

 忘れるシーンと思い出すシーンの対になった演出も好き。ソウマの読み間違いという形でその存在にエマという名前が与えられるのもわかりやすくて良かったです。

 

 またソウマが本名を知ってもずっとエマと呼び続けるのもいいですよね。出会って同じ時間を過ごした、彼女そのものをずっと見ている感じがして。

 作中で呼び方について触れられず、当たり前のようにそうしている皆の空気感も好きでした。

 

 エマは「きっと一度逃げたから(もう逃げない)」と言い、エヴァはほとんど衝動的に忘れること、逃げることを選んだけど、本質はソウマの見立て通り芯が強くてまっすぐな子なんだと思う。

 

 これは作品に関係ないただの持論なのですが、「人間は追い込まれると本性が出る」は嘘だと思っています。

 人間が動物である以上、追い込まれたときに出るのは本性じゃなくて本能ですよ。それを押さえつけて振る舞えるだけの理性があるかないかという話。

 それは人の本性でも、ましてや本質でもないと思います。わたしがそう考えているだけで正しさの保証はないんですが。

 

 エヴァの項で「ソウマと一緒に過ごすことで彼女もまた成長できたのかもしれない」と書きましたが、“エマ”にとって最も身近な存在であるソウマが隣にいて、すぐ近くで彼の成長を目の当たりにして。

 エマが何も感じなかったはずないと思います。

 だからあの忘却という逃避はエヴァ、エマという1人の存在にとって、回り道だったとしてもきっと必要なものだったんじゃないのかなあ。

 まあ初見は魔物を生み出しておいて忘れたの!?なんだこの女!?!と感じたんですが。

 ソウマの直向きさに実は一番影響を受けた人物がエマなのでは、と思っています。

 

 エマがポケットに入れていた旗を取り出して眺めるところ、ソウマの未熟な魔法がちゃんの彼女のお守りになっていたことを知れて大好きなシーンです。メイがどんなものより素敵な魔法だったと暖かく添えてくれるのも良い。

 きっとソウマの励まそうとする想いも不器用さも、エヴァがイベルに傾けていたのとはまた違う愛しさを大事に抱きしめていたんだなあと感じられて本当に好き。

 

 私こういうの好きみたい!土とか、植物とか!と笑うエマのなんて可憐なこと……。

 かつてイベルに教わった植物の命の尊さやそれらを慈しむ気持ちが記憶を失っても尚残っているのが嬉しい。

 そんな彼女の記憶の鍵が、「イベルに教えてもらった」『ローズマリー』の曲で、それが咄嗟に出てくるところが好きです。これで思い出したら仕方ないって覚悟もあったのかな。

 本当にあの2人にとって一等大事な思い出なんだなと思います。エヴァとイベルによる回想を見つめているエマがここで本当に嬉しそうな顔をしていたのがすごく印象的で思い出す度に泣きそうになります。

 

 高らかに歌い上げるときはもちろん、下ハモの低めの音域でもしっかりと響くのが楽器のようですごかったです。

 パンドラとエヴァの曲のエヴァ(神話)のダンスの、特に女性っぽさを全面に打ち出すみたいなポーズが好きです。

「何も思い出せない」と強張っていた表情がソウマの魔法によってふんわりと綻ぶ様が本当に可憐でした。

 

 

シーラ(演:蔵重美恵さん)

 通称おばば。現在は山奥で隠居中の一応魔法使い。

 

 初めましてでした。重と恵の漢字の構成が似ているので、フルネームの字面を見たときのバランスが整っていて素敵なお名前だなあと思っています。

 シーラの貫禄がすごいのでASSAでご本人のお姿を拝見したときに思った以上に小柄な方でびっくりしました。

 

 島で生まれた魔物の数が多くはなさそうなこと、シーラに師事し、島の住人だったアンナと恐らくメイですら魔物の「作り方」を知らないこと。

 死者の蘇りのために島を訪れる人が後を絶たないのに何故?と考えたときに、石を使いさえすれば良いと思う人ばかりで「棺を作る」というところまで辿り着けた人が少ないのでは、と思い、ならそれを知っているシーラは滅びた王国の生き残りなのかも、というところまで思考が発展したのですが、「あらゆる学者も挑戦した、あらゆる魔法使いも挑戦した」とあるのでその失敗を繰り返す内にだんだん還元石から不純物を取り除くことこそが目的になり、「棺を作る」という部分が忘れられていった、と考える方が自然な気がしますね。

 そもそも王国の生き残り=王国が滅びる姿を目の当たりにしているならカイトに力を貸すことはないだろうし、この説は完全に否定できそうです。

 

 しかしカイトに(魔物になった)お前の母親はお前を傷つけようとしたんじゃなくて抱きしめようとしたんだよ、とシーラが教えてくれるシーン。

 すごく感動的なのは一旦置いておいてもっと早よ言うといてくれやと思ってしまいますね。カイトは10数年ずっと悩んで苦しんでたのに……。

 まあシーラが言わなかったんじゃなくてカイトが聞く耳を持たなかったんだとは思いますが。

 

 作中で度々「神」「天罰」という言葉が出てくるのでそういう世界観だとばかり思っていたのですが、よくよく思い返すとはっきり台詞として口にしているのは多分シーラだけなので、彼女が「それらが存在するという価値観を持つ人」なんですね。

 

 価値観と言えば「選択」という言葉や概念が多く登場する中で、シーラが「運命」という言葉を用いていたのが印象的でした。

 なんとなく選択と運命って真逆なイメージがあったので。

 

 でも今回たまたまエヴァが見つけて解読、実践できただけで島に石碑が残されていた以上、遅かれ早かれ島がああなるのは決まっていて、だから「運命」なのかもしれないですね。

 もうひとつは荒れた海にエヴァと還元石を舟に乗せて放り出した際に「運命」と使っていたので、シーラの言うそれは自然について、と言うか、人間の触れられないもの、それこそ「神の領域」を指す言葉なのかもしれません。

 

 それにしても海がちょっと凪ぐまで待ってくれたってよくない?と思わないでもないのですが、どこかに存在しているはずの棺を見つけて壊すのが彼女の急務であっただろうことを鑑みると、流してくれただけ有難いのかもしれない。

 ソーマがそんなエヴァを見つけたのは運命で、エマを守ると思ったのが選択なのでしょう。

 

 同時視聴配信にて浅井さんが「イベルは最初に人間を襲ってからはもう誰も襲ってないと思う、シーラがそうならないように見守っていた」というようなことを仰っていて、そういう情の厚さが度々漏れ出ていたのが良かったです。

 

 威厳も貫禄もあるけどありすぎなくて、垣間見える人間らしさが好きでした。

 

 それにしたって今から記憶を消すぜってときに神話に出てくる最初の女性についてあの流れで言及するのはすごい。

 初見のときこの流れで雑談を!?と思ったもんな……。いやパンドラって大事なキーワードですけどね。

 

 

アンナ(演:千田阿紗子さん)

 パワー系の魔法使い。島へ渡って来たソウマたちに自宅を提供する。

 

 自宅を提供する?なんかもっと良い言葉がありそうですが思いつきませんでした。未来の自分へ、何かピンと来るものがあれば差し替えておいてください。

 

 阿紗子さんは前回のSide by Sideぶりだったんですがまた拝見できて本当に嬉しかった〜!

 今気づいたんですが苗字+さん縛りで行こうと思ってたのに阿紗子さんって呼んじゃってましたね。まあいいや。

 前回の阿紗子さんの感想についてはこの記事の冒頭に載せた感想ブログが詳しいですが、こんな感じでネタバレ満載なので本編をご覧になってからお読み頂ければ幸いです。

 

 阿紗子さんの清々しい笑顔とガラス細工のような歌声、その場に息づくようなお芝居が好きです。

 

 呼吸する島の曲を初演のものも歌われるとのことで浅井さんと阿紗子さんのライブであるASSA#4にもお邪魔したんですが、お2人の歌声と曲の美しさにずっと感動しっぱなしで終始泣きまくってしまいました。涙腺は脆い方なんですが流石にあそこまで泣いたライブは初めてでした。

 聞けたらいいなと思っていたSide by Sideのテーマソングはもちろん、呼吸する島の曲が聞けたのも本当に本当に嬉しかったのですが、特に「せんだあさこ劇場」で歌われたという、浅井さんから阿紗子さんに贈られた『Love song』がタイトル通り愛に満ちていて素晴らしかったです。

 

 浅井さんの作る曲の特に和音の美しさが好きなので、お2人の素敵な歌声でたくさん聞けてすごく贅沢な時間でした。楽しかったな〜。

 タイミングが合えば是非次回も行きたいです。

 

 アンナ、とても好きなキャラクターでした。

 強くて可愛くて優しくて凛として、何より信念があって。

 

 同時視聴配信にて「アンナはカイトの行いを否定も肯定もしない、そういうところがカイトの心を開いたんだろうね」というような話がありましたが、誰に押し付けるでもなく、ただ自身は斯くあるべしと胸を張る姿がとても素敵でした。

 

 魔物との遭遇後、「そんな姿にした奴を恨んでいるか」「そんな目で見ないでくれ」と涙ながらに口にしたカイトのナイフ?を拾い上げたアンナがカイトの背中をぽんと叩いてやって、心配そうな顔をしつつも何も言わずに寄り添うのが好きでした。

 

 コムロ探偵事務所でも思いましたが、そういう他者との関わり方が優しくて、相手への尊重も感じられるところがとても好きです。

 

 アンナは「だから貴方もこうするべき」なんて言わないけど、例えそれが死へ進むものであっても、他人のどんな選択も受け入れるところに彼女の芯の強さを感じていました。

 

 カイトの項でも書いた通りカイトはきっと自分のことをずっと誰かに聞いて欲しかったのだろうと思っているのですが、だから心の扉を、ちょっと大きな音を立てながらノックするようなアンナの距離感がちょうど良かったのだと思います。

 

 大陸に渡ったあともまた皆でしばらく一緒に暮らしてほし〜!!

 ソウマん家って何人寝れる?

 

 きっと努めて明るく言っているであろうアンナの「逃げ遅れた人はいないみたいで良かった」に“逃げ遅れた人”はいないねえ……と崩壊していく島に残ったイベルとエヴァのことを考えていました。

 イベルにとって崩壊の轟音はきっと福音に聞こえただろうな……。

 

 

メイ(演:田宮華苗さん)

 アンナの同居人。植物や動物の声を聞くことができる。

 

 田宮さんも初めて拝見しましたが歌声が本当に綺麗で、特にビブラートの振動に心まで揺さぶられるようでした。

 彼女のソロでその歌声と旋律に毎回涙したのを覚えています。

 

 あと「田宮華苗のかなえてあげる!」というラジオのタイトルがとても可愛い。

 メイについて書くにあたって田宮さんの呼吸する島ラジオを聞いているのですが、開始1分であの劇場や作品ならではの空気感を思い出して泣いてしまいました。呼吸する島が涙腺に直結しすぎている。

 こちらから聞けます。

 門山さんからのお便りを読まれたところでかわいい〜!って声が出ました。

 お便りを送る門山さんもそれを喜ぶ田宮さんも可愛すぎる。

 

 メイの植物や動物の声がわかるのは魔法なのかな?と思っていたのですが、田宮さんのラジオにて言及されてましたね。素敵な魔法だ〜。

 他にもメイとアンナのバックボーンや各共演者それぞれとのエピソードについてもお話されていて嬉しいラジオでした。

 

 明るくて元気なアンナとクールだけど柔らかいメイの関係が好きです。2人の性格の凸凹が上手く嵌っているようで可愛い。

 

 ソウマとエマへ「植物と動物にしか興味がない」とアンナに紹介されるメイですが、アンナがめちゃくちゃ人間、と言うか他人に興味があるゆえ相対的にメイがそういう子に見えているだけなんじゃないかな、と思います。

 人のことをなんとも思ってないなら急に同居人が連れてきた子たちと一緒に住めないだろうし、その子たちに料理も振る舞わないし、傷の手当てもしてあげないし、エマもメイに歌を教えてってせがまなかったと思う。

 

 初見のとき普通に人間好きそうに見えるけどな〜と思いながら見ていたら人間〜🎶みたいな曲を歌ってくれるので(そんな曲ではない)やっぱり!って嬉しかったです。

 あんなに他人とあったかく関われて、自分の心がどこにあるか知っている子が人間に興味がないわけないのだ。

 

 そういえば完全に聞き齧りなので正しいかは定かではないのですが「植物同士は40個程度の単語で会話ができる」という説があるらしく、メイもそこに加わっていたら可愛いですね。

 

 

吟遊詩人(演:内藤大希さん)

 語り部

 ↑このキャラクター紹介のようなもの(ネタバレ感想というご覧になった人向けの文章とはいえ)、名前だけ見て誰だっけ?ってなる方がいらっしゃったときに少しでも思い出しやすくなるかな〜という意図でつけているのですが、彼について書けることが全然なかった。

 

 内藤さんはミュージカル「Dance with Devels〜Fermata〜」にて拝見して以来なので、7年ぶりでした。

 しかし7年ぶりとは思えないくらいお顔が全く変わってなくて期間中ずっと慄いてしまったし何なら今もまだ慄いています。美容法聞かせてもらっていいですか?

 

 デビミュでアイアシアター東京とかいう掘立て小屋が、内藤さん演じるローエンが歌った瞬間に帝国劇場になったのはあまりにも有名。

 掘立て小屋ではあったけどアイアシアター東京、わたしは結構好きな劇場でした。思い出補正もあるだろうけど。

 

 呼吸する島とは関係ないんですが今年の1月に行ったネルフェスにてローエン(犬)が展示されていて、こんな顔だったっけ……と思いながら写真を撮りました。

 今思い立って「ローエン ランブロ」でポスト検索してみたんですがやっぱこの7年で痩せた?無機物の犬でも見た目の変化があるのに……。

f:id:omaenannyanenn:20250801024716j:image

 

 めちゃくちゃ上手いと評するのすら憚られるほど歌がお上手なのはもちろん、それでいて良く通る声に大きな声量なので音圧がすごかったです。

 場の空気を全部掌握するみたいな歌声だった。あれを赤坂レッドシアターという会場で聞けたこと、すごく幸せでした。

 

 吟遊詩人=ソウマであることがほとんど明言されるのはストーリーのかなり終盤ですが、「吟遊詩人」という役どころからするっと自然にいろんな曲に入り込み、ソウマが胸の内を語るような曲でハモるのにも違和感なく進んで行ったのが唸るくらい巧みな仕掛けでした。

 ちょっと定かではないのですがソウマとカイトと吟遊詩人の3人で歌っていたような、心理描写の曲で吟遊詩人が参加するのはソウマとセットのときのみだった気がします。思い出せていないだけで全くの気のせいだったらすみません。

 

 島いっぱいに咲き誇るローズマリーを見たときの彼の感慨や一緒に小舟に乗ったのはエマだったことに気づいてハッとする姿にソウマの心を感じて、それがすごく素敵でした。

 

 ラストの『ローズマリー〜海の雫』で吟遊詩人がソウマの頭をぽんと撫でるところ、かつての自分を抱きしめているようでとても好きです。

 千秋楽でご自分の帽子を被せてあげたのもとても響くものがありました。ソウマがそのあとちゃんと帽子を押さえながら吟遊詩人と同じ礼をしていて、自分の涙で溺れるかと思った。

 こちらについても同時視聴配信でお2人が話されてましたね。このエピソードを深いところまで聞けて嬉しかったです。

 

 

 終わったー!!書き上げるのに1ヶ月以上かかってしまったので最後の方は特にあやふやなところがありすみません。ワンスタライブのアーカイブも途中で何度か見返したんですが……。

 

 公演期間中も書いていた日々も、ずっと何かを感じて、何かを受け取って、何かを考えて、それがわたしにとってすごく楽しかったです。

 

 きっと作り手側の意図と外れている、いわゆる「正解でない」こともたくさん書いてしまっているかとは思うのですが、わたしが、とかではなく、ひとりの鑑賞者の感じて考えたことを記録することに何か意味があるのかなーと思っています。

 たとえ生まれた感情が的外れや勘違いや偶然から来たものであっても、とにかくこの作品で心が震え続けていることはわたしの事実なので、今回言葉にしたりしなかったりした思い出ごとずっと愛して行きたいです。

 

 またこの人たちに会いたいしOneの他の作品も行きたいしOneに出る泰江さんが観たいです。♡呼吸する島ライブやって♡(うちわ)

 

 あと還元石についての話や自分自身が変わると世界が変わる、微笑みかけてくれるってこういうことなのか!って実感した話などもしたいんですが、掘ればキリがないのと個人的な話すぎるのでまた別の機会に。

 

  ここまで読んでくださった方が共感したりしなかったりしてくださると嬉しいです。お付き合い頂きありがとうございました!

 

 

*1:あそこのポージングと表情がディズニーぽくてチャーミングでかわいい

セルフネイル2025年4〜6月編

前回の記事が今までにない形の反応をされてるなーと思ったらどうやらはてなブログのトップに掲載されていたみたいですね。言ってよ〜。

 

さて、セルフネイル編です。前回でも触れましたが、セルフネイルは他人に迷惑をかけずに自分の好きにある程度は忠実にできるのがいいですね。というわけで以下ベラベラ喋ります。

f:id:omaenannyanenn:20250630152526j:image

 

タイトル『夜の箱庭、星を喰む』←なんて?セルフでやったネイルを毎回chat GPTに褒めてもらっているのですが、この記事を書くにあたってタイトルを依頼したらこうなりました。「闇のなかで密かに呼吸する命と、ひそやかな祈り。」が副題っぽい。ほんまか?

お慕い俳優の泰江和明さんがワーステに出演されるとのことで、それに寄せたネイルでした。

基本は黒のマグネットで、他は白地のレインボーラメがベース。ワーステのペンライトや一部グッズで二宮隊は紫っぽい色だったんですが、影浦隊が原色に近い紫だったので差別化を図るためにモノトーン+シルバーにしました。

左の親指と右の薬指に肉球=犬(飼ってないらしいけど)、左の人差し指と小指に彼の武器である銃。PDW型の銃は爪の長さが足りませんでした。左の中指の輪っかは繋げるとチェーンが作れるもので、ネイルパーツではないです。確かマスクチェーンを作ろうと思って数年前に買ったもの。その中にストーンを並べるとなんとなくSFっぽいというか、宇宙服っぽい感じが出るかな?という気持ちで乗せました。換装体だから彼らは宇宙服着ないけど。あとはクロムっぽいパーツやピアスっぽいパーツと光で埋めました。ハードなイメージのパーツは犬飼っぽいかと言うとそうでもないんですが、スーツのスタイリッシュなイメージと、金属である銃との親和性を重視して。キャラクターが派手な印象なのでできるだけ隙間を埋めようと思ってました。

 

タイトル『泡沫の星庭』ー 星が零れ落ちた水たまりに、恋がひとつ眠ってる。←いや別に眠らせた覚えないよと思ったら肉球がハートに見えてるっぽい。

これはもうボンボンシールネイルをやりたかっただけのやつ。大きめなオーロラホロの入った乳白色をベースに、前回使った細かいレインボーラメでなんとなくグラデーションにしています。各親指と薬指にシール。とにかくキラキラをテーマに。1個前の、えーっと、夜の箱庭がギチギチだったので今回は余白多めにしたいな〜という気持ちでこんな感じになりました。あと一応犬飼先輩の犬とSF要素から星を拾っています。凱旋公演用。

 

タイトル『幻灯の祭』― 光と影の間で、秘密の市が開かれる。←きのこっぽさを感じてるらしい。言いたいことはわかる。

ワーステが終わったのでやりたかった宝石ネイルをやりました。ラインストーンでゴテゴテキラキラに。それと現場ではあんまり出番のなさそうな十字架と苺のパーツをつけました。左手はレインボーに輝くシルバーのミラーがベース、右手はバランスを取るために黄緑のマグネット1色に。北海道と自分の誕生日を過ごすのに良いネイルになったんじゃないかと自画自賛しています。5月の誕生石はエメラルドが代表的ですが、そこから派生して誕生月がモチーフになるものはほぼ緑か黄緑代表を担われることが多いイメージがあります。なあ5月生まれの皆!?

 

タイトル『薄氷に祈る』― まだ溶けない願いを、春がそっと踏みしめる。←この時期は初夏だよって何回言っても全然聞いてくれない。

シンプルにかなりかわいいと思います。ピンクネイルやりたいな〜水色もいいな〜せや!グラデーションや!という経緯でやりました。万博に行く予定だったのでミャクミャクカラー意識だったのもある。パステルミャクミャク。クロスパーツは幻灯の祭と色も形も同じです。この碇パーツは夜の箱庭と形が同じ。向こうは白でこっちが水色です。クロスも碇も白とピンクがあったのですが、水色がいちばんかわいいかなと思ったのでそれで。ラインストーンをドットっぽく配置すること以外は特に決めてなかったんですが、良い感じにできました。碇がちょっと小さめなのでわざわざ左右でクロスとの配置を変えなくても良かったですね。

 

タイトル『花影の精霊庭』― 木漏れ日の奥、まだ誰も知らない呼吸の棲みか。

泰江さんの出演される『呼吸する島』のそれぞれのキャラクタービジュアルを見ていて、フェアリーグランジボヘミアンがイメージに近しいキーワードになるのかな?と思ったので、そこから連想させました。数年前に購入した緑のネイルパーツ詰め合わせみたいなものを見つけてやりたくなったのもあります。泡沫の星庭と同じオーロラホロの入った乳白色をベースに、幻灯の祭の右手と同じ黄緑のマグネットジェルをチークネイルっぽくしています。白と緑とお花がテーマでした。

 

タイトル『静謐の雨庭』― だれもいない雨あがり、記憶だけが咲き続ける。←「庭」多くない?

上記の『呼吸する島』の、こちらはキービジュアルに寄せたネイルです。10日に1回くらいのペースで変えていたら不揃いだった爪の形も割と見られる感じになって来たように思います。キービジュアルから花と草と水滴の要素を拾って、島の周りにあるであろう海から波のイメージ。泰江さんが「触るもの全てを腐らせる魔物」役なので、花部分は青〜白のドライフラワーを使おうと決めてました。右の親指はシールですが。あと波紋もシールです。でこぼこ部分は水中と、魔物の爛れて蕩ける皮膚のイメージ。アシンメトリーデザインが好きなので左右のデザイン配置ミスったな〜と思いつつ、ビジュアルが出てからずっと考えていたものがやっと形にできたので嬉しい。

薄氷に祈るの上部分に使っていた水色のマグネットを全体に塗ったあと、青ラメのミラーパウダーを擦り付けています。でこぼこの表面にだけ部屋で転がっていた緑に光るハイライターを擦りました。ネイルをする前に読んだインタビューで魔物とイベルが同一人物だと知ったので、角度によっていろんな色に光ったら描かれるであろう魔物の内面の表現が少しはできるかな〜と思い。水滴の表現として使っているのが水色のオーロラパールなのでパウダーを擦らなくてもいろんな色には光るんですが、同じものを使っているにも関わらず波の爪よりパールも多面的に見えてお気に入りです。でこぼこはクリアと水色のチューブの3Dジェルで絞り出しながら作りました。夏だし貝みたいにするか迷ったんですが、特に関連性がなかったのでやらなくて正解だったなと思います。

 

終わり!お付き合い頂きありがとうございました。次アクリダンスまで特に現場がないからどうしようかな〜と今オフしながら考えています。また溜まったら見てね〜

2023年-2025年爪まとめ

こんな書いてないと思わなかった。懇ろネイリストが復活しないのでいろんなところを転々としている2023年10月〜です。

 

そのまんま。入江自身のベージュやゴールドのイメージとジャージの赤と白から色を引っ張ってきています。ニュアンスってたまにやりたくなる。懇ろネイリストのマリはあんまりニュアンスが得意じゃなかったので、割とニュアンス得意な人を探して行ってました。

 

覚えてないけど親指折れたのかな。お友達に紹介してもらって行ったサロンです。撮り方が斬新だ。今見てもかわいいデザイン。

 

お任せながら色くらいは決められたんですが、なんかこのときはたぶん現場がなかったのでなんでもいいですよーを連発してた気がします。色鉛筆で線を描いてくれたのが面白かった。

 

これも確かお任せだったんですがパーツの入ったケースを見てパンダーーーー!!!!!って言ったらネイリストさんがつけてくれました。そりゃそう。ストーンの水玉柄がかわいいですね。

 

なんか折れてダルくなるなどしてポストしてなかったっぽい。上2枚は確か新テニミュのリリイベに合わせて赤、3枚目は文劇に合わせて幼馴染に家でやってもらったやつ、4枚目はドーシャに合わせてキラキラと黄緑って感じ。1,2枚目のデザインがかなり気に入っています。

 

ガチでかなりかわいい。チークネイルにフレンチマグもシルバーのミラーも合わせるパーツも全部かわいくて天才のやつ。ツリーに元デザインの投稿があるんですが、ネイルチップ派だったらこの人の買ってただろうな〜と思いながら見てます。ほんとにかわいい。

 

黒のマグワンカラーをやってもらったので家にあった蜂のパーツやらシールやらをくっつけて好き勝手やったやつです。次行ったサロンでオフしてもらってるときに良いデザインですね〜ってめっちゃ褒めてもらえて嬉しかった。元があるんですか?って聞かれていや自分で適当に…って言ったら驚かれてエヘヘ…となりました。

 

進撃の爪はビジュアルや公式ホームページの色に寄せてもらおうと思って色変更したら美味しそうになりました。なんかそういうチョコレートっぽい。キャラメル入ってそう。10月の方は2個上のキティちゃんと同じ方がデザインしたやつだったはず。このデザインに水色のフリル袖は絶対かわいいぞー!と思ってサロンに着て行ったら本当にかわいくて帰り道ウキウキで撮った写真が4枚目です。

 

写真がストーリー丸出し。泰江さんのバースデーイベントのロゴを描いてもらったやつです。ロゴをゴールドのミラーにしてもらいたくて後からお願いしたのは覚えてるんですが、その他の爪はなんでこんな感じになったんだっけ……。なんか泰江さんが冬生まれなので冬っぽいネイルをと思ったんだっけな。リースのパーツはイベント当日がクリスマスイブなので選んだはず。黒でツイードを描いてもらったのはイベントのビジュアルで着てたお洋服が黒だったからです。結構覚えてたな。

 

最近は働けてなかったせいでお金が本当にないので(…)スクールみたいなところでやってもらったらどうしても仕上がりが薄くて、結構折れたり亀裂が入ったりしたのでそれを直してる内に自分でやるか!となり、セルフでやってみています。下2つはスクールサロンでやってもらったやつです。黒蜥蜴だったので落ち着いたイメージのデザインで黒。下はKSBの熱が冷めやらなかったので緑にしてもらったらかなりビオレだった。

f:id:omaenannyanenn:20250519071834j:image

ついでに見せちゃお。キラキラの中指が亀裂補強した爪です。爪の形が謎。心がKSB卍卍だったのでこのあと桜のパーツとシールをつけました。

f:id:omaenannyanenn:20250519071705j:image

フォルムを綺麗に整えるのが本当に難しい。でも自分でやるとサロンでやってもらってるときに発生する「ちょっと嫌だけど言い出しにくい」が皆無なので足し引きどちらもし放題なのが良いですね。楽しくて2週間に1回くらい変えているので、良い感じに溜まってきたらまた記事にします。動画も撮ってみたいな〜。

ゴキゲン福岡旅

f:id:omaenannyanenn:20241029142113j:image

ゴキゲンな1泊2日福岡2人旅行をしてきたのでその記録です。まず最初に、財布忘れてすみませんでした!!机に置いてあった小銭を引っ掴んで電車に乗ったので新大阪で新幹線の切符を買おうとするまで気づかず…。

f:id:omaenannyanenn:20241029110838j:image

懺悔したときの反応。優しい。あとでこのとき彼女が「まだ切符買ってなかったのかよ」と思っていたことを知る。前日買おうとしてたんですが、本当に20時に予約していた美容院に行く準備が間に合う時間まで起きられなくて…。

f:id:omaenannyanenn:20241029111413j:image

 

友人がスマートEXで代わりに自由席を買い、わたしのダウンロードしたモバイルSuicaと紐付けてくれたおかげで無事に乗りたかった1本後の新幹線に乗ることができました。

 

そんなこんなで博多駅で13時過ぎに合流。電車に乗って予約してくれていたNi to Niさんに行きました。美味しい洋菓子とお酒(もちろんノンアルも)のペアリングが楽しめるお店。

f:id:omaenannyanenn:20241029112651j:image

期間限定の『金木犀と柿のパフェ』と『ビオレソリエスのタルト』とシャンパンを頂きました。2人ともこの2つで迷っていたのでざっくり半分こしながら食べた。説明してもらったのにほぼ構成は覚えてないんですが、金木犀と柿のパフェは上に乗っているスパイスの効いたメレンゲが甘いアイスや柿の味を引き締め、下の金木犀ジュレと紅茶のやわらかいゼリーとミルク感の強いブランマンジェが合わさることで最強になっていました。最強です。パフェって意外に思う組み合わせでも調和が取れていて感動することが多いのですが、こんなの計算して生み出せるものなんだろうか。1+1=5だったので全部足したら100になりました、みたいなことを言われて良く分からないけど美味しー!と思いながら完食しました。スパイスのメレンゲが美味しすぎてもうちょっと欲しかった。

そのあとビオレソリエスのタルトを。ビオレソリエスとはどうやら無花果の品種のようです。無花果のタルトの味を想像してください。それの究極に美味い版です。赤紫蘇とぶどうがあしらわれていて、それが味に変化をつけていて面白くはありましたが正直わたしは紫蘇があんまり好きじゃないのでなくてもいいな…と思いました。全体的に赤紫で整えられていて色は綺麗だった。ピスタチオのアイスってまあ好きだけど自分から進んでは頼まないくらいの「まあ好き」なんですが、ちょっとレベルが違う美味しさでした。今まで食べていたピスタチオのアイスの味が上滑りしていたように感じるくらい深みがあった。

恐らく定番商品であろうガトーショコラだったかブラウニーだったかの説明に「調理の際に赤ワインで乳化した…」というようなことが書いてあって、そちらもかなり気になりました。デザートもシャンパンも追加料金がかかるものだったこともあり、2人で6,400円と結構お高めでしたが機会があれば是非また行きたいです。

f:id:omaenannyanenn:20241029115018j:image

 

Ni to Niさんの最寄りが薬院大通駅だったのですが同じ最寄りに福岡市動植物園というところがあり、駅に動植物の豆知識がいっぱい貼ってあって面白かったので次のお店の予約時間までここで時間を潰そう!ということになりました。かなり広くて3時間じゃ回りきれないほどだったのでここもまた行きたいです。敷地もそうなんですが獣舎のひとつひとつも広いのが良かった。

f:id:omaenannyanenn:20241029121318j:image

植物園の方はいろんな種類の木が所狭しと植えられていて、木たちってこんなに共存できるんだ…という学びがありました。写真は柳シリーズ。場所によってもっと木々が密集しているところも。

f:id:omaenannyanenn:20241029115553j:image

もうすぐ4頭(1頭は亡くなってしまったらしいのですが)のゾウがミャンマーから引っ越してくるらしく、恐らく近くの幼稚園児や小学生から熱烈な歓迎をされていました。子どもたちからのメッセージにオジサン構文が紛れていて思わず撮ってしまった。

f:id:omaenannyanenn:20241029115953j:image

登ると植物園に行ける…何これ?電車?写真で伝わるか微妙なのですが、かなりの急斜面なので制御を失ったら死ぬだろうねという話をしながら乗りました。動きが緩慢なのが逆に怖かった。

f:id:omaenannyanenn:20241029143029j:image

泳ぎで同じ場所をずっと旋回しているカワウソ、悠然と羽を広げながら大御所のように歩いてくるツル、人が入っても余裕がありそうなほど広いプールに見向きもせず魚を食べ続けるペンギン、怖いほど知性を感じるサル、発狂したような声をあげ続ける謎の鳥、歩いていたら突然現れる遊園地など、見応えのある動物園でした。土曜日でしたが広さのおかげがどこもゆっくり見られて良かったです。観覧車ちょっと乗りたかった。高いところ怖いくせに。

f:id:omaenannyanenn:20241029143250j:image

閉園時間になったのでバスで動植物園を後にしました。福岡で意外だったのがバスの運行が多かったこと。遅めの時間でも走ってるのを度々見かけました。その割には1台の大きさが小さくてぎゅうぎゅうになりながら天神へ。この時点で17時半くらいだったでしょうか。動植物園で結構歩いたのと、福岡に着いてからデザートしか食べてなかったことでお腹が空きすぎていたので何か少し食べようという話に。でも晩ご飯のお店を19時から予約してるし、ちょうどお寿司1貫くらいの量を食べたいねと言いながら三越の地下へ。軽い吟味の結果、揚げたてだったプレーンとのり塩の唐揚げのミックス1パックを2人で買いました。あまりにも我慢できなくて地下の駅の構内みたいなところでそれぞれの味を1つずつ食べた。わんぱく。残りはホテルで食べました。

 

f:id:omaenannyanenn:20241029144149j:image

そして炭火焼きのお野菜が食べられるイタリアンn.Quadさんへ。わたしたちが食べたかったのはこれ。ウワー!

f:id:omaenannyanenn:20241029144239j:image

この凶悪的とも言えるビジュアル、思い返すだけで幸せな気持ちになります。オリーブオイルとワインビネガー、ブラックペッパーでマリネされたシャインマスカットの上にブッラータチーズが乗った1品。季節によって果物は変わるみたいです。上品な甘さのマスカットにマリネした調味料の香りが加わり、とろとろのチーズとの相性が抜群。パリッとした皮と柔らかく歯を押し返すチーズの食感の対比も面白く、最高の贅沢でした。

f:id:omaenannyanenn:20241029145108j:image

カリカリに焼かれたバケットの上に無花果バター。間違いない味がします。果物とバターの組み合わせだとレーズンバターが定番かと思うのですが、無花果の癖のない甘さにプチプチと弾ける種が香り高いバターの脂と合わさってレーズンバターより好きでした。

f:id:omaenannyanenn:20241029145257j:image

マッシュポテトと挽き肉の重ね焼き。にんにくの効いた滑らかなポテトと肉の旨みが合わさって最強でした。味付けがシンプルなのが逆に嬉しい。荒めに刻まれた玉ねぎがシャキシャキして食感も楽しかったです。

f:id:omaenannyanenn:20241030001048j:image

炭火焼きの長芋と鶏ハツ。長芋の食べ方としてこんな美味しいものがあったのかと衝撃を受けるくらいすごかったです。カウンター席だったので炭火で焼かれる様を見られたのも臨場感があって良かった。鶏ハツってあまり食べたことがなかったのですが、注文する前に聞いた「砂肝みたいな感じ」とは違い、歯触りはぷりぷりとしているのにねっとりとした余韻が舌に残って美味しかったです。わたしはレバーの独特な味が得意ではないためこちらを注文し、レバーが好きな友人もちょっとレバーっぽいけど大丈夫?と聞いてくれたのですが臭みが一切なく、身と内臓の中間のような味わいでした。まあハート(心臓)なので完全に内臓なんですけど。わたしはサングリアとスパークリングワイン、ジントニックを飲んで2人で8,000円ちょいくらいでした。

 

そしてわたしの行きたかった屋台の、友人の行きたかった明太野郎さんへ。

f:id:omaenannyanenn:20241030010532j:image

人気店らしく、30分くらい並びました。この時点で結構お腹はいっぱいだったんですが、どうしても食べたくて明太焼きラーメンみたいなやつと揚げじゃがバター明太をオーダー。揚げじゃがバターってなんだろうと思っていたら、ガーリックバターソースのかかったフライドポテトに明太子が乗っかった美味しくないわけがないやつでした。 焼きラーメンは歯切れのいい細麺に絡む豚骨スープに明太子と、シャキシャキさを残して炒められた野菜が美味しかったです。

f:id:omaenannyanenn:20241030012038j:image

じゃがバター食べかけですみません。ラーメンより先に来ちゃったから。秋の涼しい空気を肌で感じながらジャンクな料理をお酒で流し込む気持ちよさ。屋台飲みの醍醐味ですね。福岡の人たちこれを毎日できるの羨ましすぎる。

 

そこから腹ごなしに20分ほど歩いてホテルla merへ。ラブホテルです。最近はホテルがどこもアホみたいに高いので、2人以上で泊まるならラブホの方がいいのではと思っています。部屋広いしアメニティもバラエティに富んでるし、ホテルによってはなんかくれるし。ただ部屋と人数によっては寝る場所がない人が出てくることもあるので、大人数なら事前に電話で確認した方が無難かも。元々は2人で使うための部屋だし…。

f:id:omaenannyanenn:20241030082026j:image

外観の写真を撮るのがちょっと気まずかったのでいきなり部屋の写真です。むしろホテルのエントランスのような内観。今まで泊まった中でもかなり広い方でした。

f:id:omaenannyanenn:20241030083159j:image

お風呂も広かった。2人で空間を持て余し、ベッドに凭れながら床に座って唐揚げを食べたり、抜け出して買ってきたお酒を飲んだりしました。12時チェックアウトで神だった。

 

f:id:omaenannyanenn:20241031003554j:image

次の日、ホテルを12時前に出て福岡PARCOにある博多天ぷらたかおへ。実は全国いろんなところにあって、わたしが初めて食べたのは渋谷PARCOででした。確か渋谷くらいにしかなかったときに何度かTwitterでオススメした気がする。揚げたてのものを2〜3個ずつ、3回に分けて持ってきてくれるのでずっと熱々でサクサクの天ぷらが食べられて、昆布明太と浅漬けが食べ放題のお店です。前日とにかく明太子が食べたいねという話になり来訪。2人とも季節の天ぷら定食を頼みました。今回の具材は椎茸、サバ、山芋、舞茸、里芋(写真の具材はこれ)、海老、蓮根でした。全部美味しかった!秋ってサイコー!普段はご飯小盛りで満腹になるのでそれでいいかなと思い小盛りで頼んだのですが、天ぷらにちょっと甘めのつゆをつけて、明太子と明太子の塩分を考慮してかかなり薄味な

浅漬けとちょっと硬めに炊かれたご飯を掻き込むのがまあ美味しくて美味しくて。お代わりしてしまいました。もう一度小盛りで頼もうとしたら友達に「愚か」と評されたのでちゃんと中盛りにしました。2/3くらい食べて残りは食べてもらいました。中盛りにして良かった。ありがとう。

その子が「きのこって全然知らない」と言うのを話半分に聞いていたのですが、初めに椎茸を食べたあと「きのこって香りなんだ…」と感心していて「ほんまに食べたことない人のやつやん」が口から突いて出ました。これからいっぱい食べようね。

 

f:id:omaenannyanenn:20241031002951j:image

小判型ダックワーズ発祥のお店らしいフランス菓子16区へ。入り口からお店を囲むように並ぶくらいたくさんの人でしたが15分くらいで入れたかな?自分へのお土産にダックワーズを買いました。ケーキ屋さんの焼き菓子大好き。

f:id:omaenannyanenn:20241031003530j:image

そのお店の近所にあったプリンスオブザフルーツ(日と常さんの上です)。プリンスオブと聞くと続くのはわたしの中でテニスとエースなので大喜びで写真を撮りました。パフェのお店らしいのですが、店内にゴリゴリの兄ちゃんが座っているのが見えたのが意外性があって良かったです。

 

f:id:omaenannyanenn:20241031071052j:image

電車で移動しましたはキャナルシティです。ワー!テニミュが福岡で上演しなくなってから足が遠退き、かなり久しぶりに来ました。ここ来ないと福岡来たって感じしないよなあ!(オタクの感想) 友人と前回キャナルシティに行ったのは2ndの全国立海でなので、一緒に来るのはきっかり10年ぶりでした。時が経つのって早すぎる。今これを書くにあたってちょっと調べたのですが、劇団四季キャナルシティ劇場専用利用は2022年で終わってたんですね。ワートリここでやるやんけ!いいなー!中をうろうろしていたら福岡のナンジャタウンみたいなところがありました。

f:id:omaenannyanenn:20241031071807j:image

世話になったキングオブプリンスさんたちにアクターズリーグダンスで挨拶をしている図です。キングオブプリンスさんたちのデフォルメ絵ちゃんとかわいい。

f:id:omaenannyanenn:20241031071936j:image

友達はジェネシスというチームに所属している人(名前忘れた)のアクスタを買えて喜んでいた。「もう終わったジャンル」「こんなところで出会えると思わなかった」らしいです。良かったですね。

f:id:omaenannyanenn:20241031072202j:image

これは鏡越しに挑発してきた夏油。

f:id:omaenannyanenn:20241031072248j:image

あとなんかゲーセンで撮りました。ホラーが苦手なので普通にガチで怖かった。簡易的とは言え密室であんなことしないで欲しい。カーテン開けな!って教えてもらったので目を瞑っては合間にカーテンを開けながら撮りました。1個めちゃくちゃ目瞑ったままのプリになった。内容というか、ホラーとして割とオーソドックスな感じでしたが、それがプリクラで行われるのが日常に潜む非日常感があって面白いんじゃないでしょうか。わたしは二度とやりません。

 

f:id:omaenannyanenn:20241031075224j:image

通りかかったポムの樹で見た謎の人形。

f:id:omaenannyanenn:20241031075342j:image

前日から底の薄い靴で歩き通しだったのでどっか座りたいかも!って強請ってなんか良さそうだったキャンベル・アーリーさんに入りました。わたしはバナナチョコパフェとまたスパークリングワインを、友達はミルクパンケーキみたいなやつとキャンベルというロゼワインをオーダー。自家製らしいチョコアイスが美味しかったです。見える部分にも大きめに切られたバナナやオレンジが乗っているのですが、中にも嘘だろってその2つの果物がごろんごろん入ってました。ジェネシスさん(ジェネシスさんではないらしい)も誇らしげですね。ちなみに泰江さんの台座は持っていくのを忘れたので鉤貫レムさんのものを借りています。ハロウィンだからという理由でアクマのレムさんを最近持ち歩いてるらしい。これのお陰でこの旅行中どころか終わってからもダンデビの曲が頭から離れなくて困りました。なんであんなに歌詞は意味わかんないのに曲がべらぼうに良いんだよ。このお店にいるときに泰江さんのバースデーイベントの詳細が発表されてわたしは気が気じゃなくなったりしました。

すご〜。芸術?「We can」なところに自信が伺えて良いですね。見上げていると思っていたらいつの間にか肩を組まれているような距離感、いつも新鮮にびっくりする。イベントのロゴマークはご本人曰くエンブレム意識らしいんですが「王になってる」って呟いたら友人から秒で「戴冠してるね」って返ってきて、その瞬発力と語彙力やっぱりすごいな…と思いました。戴冠って4文字が即座に出てくることってある?

f:id:omaenannyanenn:20241031081357j:image

そういえばガチャガチャコーナーで中なのか外なのか良く分からない写真も撮れました。

 

このあと1階の博多の石畳さんにも行く予定だったんですが、わたしが時間を忘れて文房具屋さんではしゃぎ散らかして新幹線の時間ギリギリになってしまいました。それを逃すと次40分後とかだった。でも吟味の結果いい感じのマーカーペンが買えて嬉しかったです。付き合ってくれてありがとう。新幹線から先に降りた友達とバイバイして泰江さんのインライを見ながら帰りました。ニューヨークの話がいっぱい聞けて面白かったです。

個人的にめちゃくちゃ食べて太るぞ〜!!と意気込んでいたのですが、翌日1.3kgしか増えてなかったしなんなら次の日は行く前より体重減った。熱産生…なんたらかんたら…のお陰かも(食事誘発性熱産生でした。うろ覚えすぎる)。福岡に行ってみたいお店がまだまだいっぱいあるのでまた行きたいです。マジで10年ずっとこんな感じで申し訳ありませんが次は財布に気をつけるのでよろしくお願いします!!!

f:id:omaenannyanenn:20241102180208j:image

ホテルでのかわいい2匹とリボンの裏話(…?)です。終わり!

化粧!2024夏

夏終わったがな。本当に終わったんですか?

お題箱で2024版のメイクブログが見たいと言ってもらったのでウキウキで書くやつです。ポーチをそのままひっくり返したので限定の物があっても許して。

f:id:omaenannyanenn:20241020084744j:image

フラッシュ超反射。

 

ドロドロ崩れるのが好きじゃないので夏はノーファンデーションです。この2つについて今更特に言うことがない。ちょっとしたお出かけの日に使うやつたち。

f:id:omaenannyanenn:20241020100053j:image

WAKE MAKEのコンシーラーパレットはAmazonにないっぽい。デイジークのコンシーラーパレットを失くしたので代わりに1号のライトを買いました。左下の黄色は小鼻の赤み消し(緑はファンデーション使わないとちょっと浮く)と口角のくすみ消し、右下のオレンジベージュはクマ隠しに使っています。たまにしかしませんがラベンダーを頬の高いところに使うと透明感っぽいものが出て良い感じに。夏場に放置すると小鼻の辺りは崩れちゃうけど、まあ崩れない方がヤバいよなという感じです。なんかで見た先にアイシャドウベースを仕込むのが結構よかった。でも忘れがち。

 

かわいい〜。001も持ってます。髪が色落ちして黄色っぽくなって来たので最近はもっぱら002。真ん中のハートのところはチークなんですが面積が小さいので、大きめのブラシでばふっと取ってぼん、がやりにくい。質感がマットでパレットの中で一番オレンジ味が強い色なので、カラーメイク感を出したいとき下瞼の目頭に入れます。その周りのハイライト部分は涙袋の高さ出しに。ハートの右上の色をとりあえずベースにすることが多いです。公式いわく「ヌーディーコーラル」らしいのですが塗ると見た目ほど白っぽくなく、ふんわり陰影をつけてくれるのが良い。その下のブラウンでグラデーションを作って涙袋の陰にも。アイシャドウ右下のブラウンはわたしが使うには暗くてちょっと持て余し気味。たまーに涙袋の陰の黒目の下部分か、逆に黒目よりちょっと外側に重ねることもあるくらい。あと左上段2つのラメをその日塗りたいところに塗ります。

f:id:omaenannyanenn:20241020100117j:image

イニスフリージューシーオレンジパレット。4年前の限定らしい。4年前て。いやでもコスメの使用期限って守るの嫌じゃないですか?わたしは嫌です。淡く見える色すら嘘みたいにオレンジなので嘘みたいにオレンジにしたいときに使います。

f:id:omaenannyanenn:20241020093112j:image

爪でハイライト部分を抉ったのが見える。なんか比較しようかなと思って写真撮ったものの、割と違う色なのであんま意味ないですねこれ。

わたしが持ってるのは旧パケですが。新しいパケの方がかわいいよね。くすみ加減が絶妙で、元気!フレッシュ!って感じにならないオレンジ。なんとなくアンニュイな雰囲気が葦木場っぽいなと思っています。オタク。同じようにベージュのラメでも立体感が出るタイプのものとそうでないものがあるなあと思っていて、これ(右下)は立体感が出るタイプのベージュラメです。

3本も入ってる。たぶんこの日どれにするか迷ってたんだと思う。消えがちな目尻部分のアイラインがこのクリーミータッチライナーを使うとかなり保つのでこれ以外をいまいち愛せないところがあります。08番は黄緑のメンカラに合わせて買ってみたんですが、ちょっとニュアンスが出るくらいではっきりとした分かりやすいカーキじゃないところが逆によかった。使うとオレンジのシャドウに深みが出る感じがしてお気に入りです。変わり種として買ったけど普通に使いやすいので使い切ったらまた買うかも。09番のダージリンピンクと12番のイチゴストーム(限定)はあんまりアイラインの存在感を出したくないけど目がここまである気がしますよね〜?って言いたいときに使います。どっちを使うかは相性と気分。

f:id:omaenannyanenn:20241020100437j:image

whomeeウインクファイブアイシャドウmars。ヤバいこれも4年前の限定だ。面で光ってくれるタイプのパールシャドウで肌なじみの良いベージュなので涙袋の高さ出しにめちゃくちゃ向いています。ピンポイントにしか使わないので一生なくならない。たぶん添い遂げるんだと思う。

一応写真を撮るときに並べた順なんですがあっちこっちしてごめん。下睫毛を描く用に使っています。細くてヨレないので良い。これの隣にある涙袋ライナーは特に言うことがないので割愛します。これも下手したら4年くらい使ってるんじゃないかってくらい使ってるのでたぶん今までのブログで書いたことあると思う。たぶん。

 

f:id:omaenannyanenn:20241020101135j:image

カラーグラム立体創造シェーディングスティック。すごい名前だ。どんなときでも02番のクールトーンを使用しています。肌に馴染みつつしっかり陰影をつけてくれるしノーズシャドウも消えない。チップもぼかしやすくて良い感じ。

 

いろんなマスカラ下地を使ってきましたが、これがあるなしではその後のマスカラを使ったときの長さとボリュームが段チ。1本で済む手軽さも良いです。

「アイドル級束感まつげ」なら正直ラッシュガーディアンの方が仕上がりは強いです。束感は出るけど。ラッシュガーディアンは繊維あり+マスカラ液がしっかり黒でキングダムは繊維なし+マスカラ液がクリアブラックなのでとにかく睫毛を盛りたい日はラッシュガーディアンって感じ。キングダムは元々睫毛が長い人向けかも。

 

 

何年か前の誕生日に頂いたもの。オレンジとピンクの中間色にパールが入っていてツヤツヤかわいい。色番が書いてあるであろうところに取れないシールが貼ってあって分からないのですが、たぶんこれだと思う。オレンジのシャドウを使ったときセットで良く使います。

急に顔をピンクに光らせたくなったときでも対応できるようにポーチに入れています。オレンジシャドウでも意外性が欲しいときに良い。そのときは上瞼の中心にも入れると統一感が出る気がしています。面で光るタイプ。

 

パッケージやチェリーという名前から受ける印象より青み少なめのピンク。よく飲み物を飲むのでコップに口をつけても色が残るリップが好きです。確かリップを忘れた日にアインズトルペでこの色だけ安くなってたので買った。青みが少なめなので汎用性が高くて気に入っています。

Amazonに02番ないかも。リップもう少しオレンジ寄りにしたいな〜と思うとき、パッケージからしてめちゃくちゃオレンジなのでパッと手に取ってしまいます。わたしは相性が良くないのかあんまり色持ちしないけど、昔バズってたときに買った惰性で3本くらいあります。06番のフィグフィグと12番のチェリーボム。色がかわいい。でも正直グラスティングメルティバームの方が好き。

 

最近は新しい商品を見ても目新しいものを見たときのときめきに欠けている感覚が自分の中にあって、なのでほとんど買わずに手持ちのものの使い方を開拓しようのフェーズに入っています。自分の顔と理想とトレンドの兼ね合いに行き詰まった感じがあるのかも。メイクレッスンか、そうじゃなくても他人にメイクしてもらえるところに行きたいね〜とずっと思ってるので、行ったら書くかもしれません。風穴を開けるような何かを得たいです。新しいコスメでも新しいやり方でもなんでもいいので。最近これ使ってみて良かったよーってのがあったら教えてください。終わり!

One on One 35th note「Side by Side」ネタバレ感想

期間:2024/2/8(木)〜2/18(日)

劇場:赤坂RED/THEATER

 

あらすじ(公式サイトより)

ピンチはチャンス?冗談じゃない

ピンチはピンチ チャンスはチャンス

大逆転を起こせるか? ただ それだけ

f:id:omaenannyanenn:20240229053848j:image

 伏線という名の謎が明かされてあー!って膝を打つ瞬間が楽しい作品なので、まだご覧になっていない方は今すぐ配信を買ってください。しかし今日の21時まで販売なんですが果たして21時までに書き終わるのか?(追記)無理だったのでhttp://oneonone.shop-pro.jp/?pid=179392748: DVDを、買おう!!!こちらの記事は2/21から書いており、配信でお話を聞いたあとに加筆修正していますがしきれていない部分で時空の歪みが発生します。

 もうとにかく楽しかった!!一言にするとこれに尽きます。泰江和明さんのご出演を機に『コムロ探偵事務所シリーズ』と「One on One」に初めて足を運んだのですが、とても特別な作品になりました。脚本が当て書きであること、どころかセリフの数々が作・演出・音楽の浅井さんと泰江さんとのディスカッションにより生まれたということがあり、好きな俳優のとても歓迎できない現状がたくさん反映された作品。泰江さん演じるオオバヤシくんが懊悩する様を苦しいようなもどかしいような思いで見つつ、でも周りの力を借りて立ち直るオオバヤシくんの姿や「今ここに選んで立っているのが楽しくて仕方ない」と言うようなエネルギー溢れる泰江さんの姿に救われたり元気をもらったりしていました。わたしは泰江和明さんという人のオタクなのでこの感情は切っても切り離せないのですが、そういうことを考えず、あるいは知らずに観てもかなり楽しめる作品かと思います。何せお話の作りが丁寧で、物語を膨らませるための要素や仕掛けが随所に散りばめられていて、上手い。脚本としての完成度が秀でて高いのにセットと衣装で作り込まれた世界観、卓越した技術を持っている人しかいないキャスト、それらを補強する演出と演奏。キャッチーな音楽。ここは好みの問題かと思うのですが小説でいう地の文に当たる「説明」が大抵の場合、曲で進行するのもよかったです。歌詞に説明する・される登場人物の感情が組み込まれるのも単調にならずにかなり見やすい。説明台詞ってその舞台に通っていると正直話が聞けなくなったり飽きちゃったりこともあるんですが、おかげで最後までずっと全編楽しく観劇できました。以下キャストやキャラクターについてもう少し踏み込んだ感想で、ネタバレしかありません。

 

 

コムロ演:藤原祐規さん)

 偏屈な探偵で重度の花粉症。多分ツンデレ

 藤原さんは極上文学シリーズの「高瀬舟山椒大夫」で拝見して以来、2度目でした。あの作品9年前らしい。怖。高瀬舟の方で演じられていた庄兵衛の、自身が情熱を持てないことへの嘆き*1を濁流のように畳み掛けられて震撼したのがそれでも記憶に新しいので今回かなり楽しみにしていました。

「不器用な仏頂面」の変化が大袈裟でないのに顕著。アケチにワダくんが自分を心配していると聞かされたときの表情の緩み方、痛いところを突かれたときの気まずそうな雰囲気、オオバヤシくんに2作品目がめちゃくちゃ面白かったと言われたときの嬉しそうな顔、慰めようとする際の力の籠った眼差しなど、ベースは変わらないのにそれでもコムロさんの感情がひしひしと伝わるようで、きっと事務所の面々はコムロ先生のこういう不器用さも愛しいのだろうなと思います。地味に「じゃあな、アケチ」「じゃあね、ロクちゃん」と、アケチの返答をしっかりと待ってから電話を切るところが好きでした。この「じゃあな、アケチ」の声色に込められている親愛も塩梅が絶妙で、聞くのが楽しみだったセリフの一つです。歌が歌として上手くて声が良いのはもちろんですが、歌い方が情緒的でセリフとして伝わってくるのが素敵。特にこの作品はキャストの全員がそういう歌い方をされているように聞こえました。「失敗する深呼吸」の苦さが特に好きで、印象に残っています。あとビヨーン!とした動きが面白すぎる。取り調べを受けている最中のコムロさんの顔も何度見ても面白くて結局最後まで笑ってしまいました。自分がマエクラさんやワダくん、コグレさんに与えられることに慣れてしまって彼らをある意味軽んじていたと気付かされたときの痛みや罪悪感を覚えた表情も印象的でした。オオバヤシくんはそんなコムロさんにとって身近な「初めて薬を飲んで世界が変わった(変わっている)人」だったのかもしれないな。今思いました。

 

ワダ(演:新正俊さん)

 探偵の助手をする傍らで小説を執筆している。目指せワトソン。

 新さんはお名前を度々拝見していたものの機会がなく、初めましてでした。声質と滑舌が良いので台詞が聞きやすく、視野が広くて頭の良い方なんだなという印象。何かアクシデントが起きたときにも瞬時に対応する冷静さがありながらお芝居に乗る感情が鮮やかですごかった。コムロ先生と2人のシーンは毎度痛みを感じるほどでした。

 愛らしく純粋に見える反面、言いたいことははっきりと口にする強さとマエクラさんに「ワダくんなんかイキイキしてるね」と言われた際に見せる悪戯っぽい笑顔が印象的。初日に「ここにいたら皆さんに甘えてしまうから」で泣いて顔を伏せてしまったオオバヤシくんがその顔を上げるまで待ってから「甘えちゃ、ダメなのかな」と言っていたのが特に記憶に残っています。

 ワダくんは受け手であるイメージが強かったように思います。そこも助手で、小説家っぽい。あと観てもないのにアレなんですがなるほどソシャゲの顔の見えない主人公にも向いているだろうなと思いました。個性の強いキャラクターたちに引けを取らない癖の強さと、確固たる意志、そして高い順応力。マエクラさんがフェイク動画を作ったと気づいたときにやんわりと本人にだけ気づいていることを伝える辺りがかなりツボ。恐らくマエクラさんはワダくんが気づいてもその場で暴くようなことはしないだろうと信用してコムロ先生がカップラーメンを食べようとするあの映像を使ったのでは……と思っています。「悪趣味な右腕さんが一体何を考えているのか」についても結局聞いてなさそうだし。そういう関係性もこの作品の好きなところの一つです。踏み込みすぎない心地よさがある。

 物語の終盤で機嫌の悪いコムロ先生と対峙する場面のワダくんの感情が公演によって毎回違っていて、楽しみなシーンのひとつでした。涙が出ちゃってたり(個人的には悲しみの涙というよりぶつけようのない感情が溢れたように見えました)千秋楽ではワダくんからそれまでにないくらいに怒を強めに感じたりと、その場で生まれた感情をぶつけているのが好きでした。

 

マエクラ(演:田村良太さん)

 コムロ探偵の右腕。趣味は盗聴とハッキングらしいけどあんまり初対面の人にそれ言わない方がいいと思う。

 田村さんも初めましての役者さんでした。ふとした表情や仕草、台詞回しになんだか異様*2に色気を感じた。お歌が堪能で特に高音が素敵に響いて聞こえます。田村さんがアフターライブの気まぐれな風のソロパートでめちゃくちゃアレンジを入れながら歌ってくれたのですがそのアレンジが入る度に泰江さんが声をあげて喜んで、それを皆さんでニコニコ見てるのがかわいかった。

 飄々としているように見えて胸の内にアツいものを秘めているようなキャラクターが好きなのでマエクラさん、とてもすごくかなりツボでした。「お前が本気だったことなんてあるのか?」と言われたときの「えー、コムロちゃんにもそう見えてた……」*3からの「ねえ僕の本気どうだった?」がまあ堪らなくて……。前作のFace to Faceをわたしは配信で一度見たきりなので詳細には覚えていないんですが(1作目も間に合わなくて見れず)、彼らの出会い、エピソードゼロは恐らくセバタさんのすり替えた茶碗を作ったのがマエクラさんで、ただ「才があるから」という理由で流されるがままに動いてきた彼がコムロ先生に「これを作ったのは誰だ」と怒鳴り込まれ、散々説教され、コムロ先生に興味を持った。そんな彼は3年もの間、情報屋と発明家としての腕を磨くために修行をしあの日名前も聞かなかった探偵の前に「ボクを雇って」と姿を現す──。みたいな経緯だったように思います。細かいところ間違えてたらごめんだけど「雇われるために3年修行してた」は合ってるはず。そんなん“““本気”””じゃん!!!そりゃ怒るぜ!?? 途中、確か14日の夜くらいからかな?もうちょっと前?「見たいって言ってたでしょ、僕の本気」に続いてコグレさんが気づく前にコムロ先生が「本気?」って聞き返してハッとしてたの、『鋭すぎる観察眼と推理力』で良い追加でした。

 コムロ先生に自身が使い込んでしまった大金について相談されていたアケチに、マエクラさんが何に使ったのか聞こうとして「知りたければ自分で調べれば?」と言われるシーンがあり、秘密って暴かれるものではなく信頼する相手に打ち明けるものではないのか……などと過ぎったんですが、『秘密主義』のコムロ先生がやろうと思えば『一瞬で調べられる男』を傍に置いている時点でそれは立派な信頼だよなあ。何に使ったかについて調べていたのはお話で出てくる通りですが、その後アケチとコムロ先生の関係が明らかになったときにマエクラさんは1人だけ知っていたような素振りを見せていたので*4完全に「ロクちゃんが望まないことは調べない主義」ではなくなったんだなーと思っていました。コムロ先生はドアを開けて踏み込まれることで失望や落胆されたくないと思っていて、マエクラさんは逆に踏み込むことで嫌われたり嫌がられたりするの怖がっていたのかなーとか。わかんないけど。そこにコムロ先生に遠慮なんてされたことがない、全てを許されている(ように見える)アケチが来てなんだこいつってなっちゃったのかな?という勝手な想像。ドライブレコーダーの映像*5を皆で見たあと、逮捕勾留の決め手になったと聞かされたときのマエクラさんの表情や態度がかなり好きでした。

 

コグレ(演:千田阿紗子さん)

 パピラ。事務所に出入りしている刑事。

 千田さんも初めましてだったんですが素敵だった〜。アニメみたいにくるくる変わる表情がかわいくて面白くて、そして歌声がめちゃくちゃ綺麗。あと声をあげて笑い出したオオバヤシくんに向ける優しい顔がすごく記憶に残っていて、あの表情を思い出すと泣きそうになるし何なら今マジで泣いています。*6OPでコグレさんがオオバヤシくんの車椅子を急に押したときの表情も無償の優しさや愛みたいなものを感じて大好きです。あそこで片足を跳ね上げるのもかわいい。

 コグレさんの「放っておけないのよね」という台詞と言い方が特に好きです。コムロ先生のそういうところを理解して傍にいるんだろうなという感じがして。その信頼が窺い知れる「先生が人を突き落とすようなことする訳ないって思うし」も好きで、これも思い出すと涙が出てくるシーンです。今書いてて思ったけどワダくんが特に心配してなさそうだったのも先生の潔白を信じていたからか。遅。刑事として公正な判断をしなければいけないと悩むコグレさんにワダくんが励ますような言葉をかけない辺り、大人の繋がりって感じが強くて本当に良い関係性だなと思います。関係性と言えば「自覚してください!」からの流れもやっぱり大好き。謝りたくても素直に謝れないコムロ先生にああいう形で赦しと気づきを与えるみたいな。大層な言い方になってしまいましたが。「チョーメイワクゥ」のあとのふんっがワダくんとマエクラさんにねーっ?って言うのに変わってた回があってあれもかわいかったです。ところでコグレさんの髪型*7もオオバヤシくんが花粉研究者*8になったのもその場の勢いらしいのにパピラの形とコグレさんのシルエットが一致したの凄すぎる。アケチが「君がコグレ警部補か。確かにパピラそっくりだ!」って言ったところでオオバヤシくんが全身を大きく早く使ってブン!!!って真顔で頷くのが好きだったんですが配信には入ってなかった。あれ勢い怖すぎる。アケチ、奥の部屋でパピラについてオオバヤシくんに散々聞かされてたんだろうな……というのが垣間見えて良いですよね。ところでいつかの公演の挨拶で千田さんが「あんなに自分の顔が大きく印刷されたのは初めて」「あの布どうするんですか?って皆に聞かれるんですけど公演が終わったら持って帰ろうと思います」というようなことを仰ってたんですが、浅井さんとの配信曰く本当に持ち帰られたらしいです。良かった(?)

 

オオバヤシ(演:泰江和明さん)
 泰江さんのファンで良かったなあ。出演作を観る度にそう思ってるけど今回はこの作品に出会えたことがあって、その気持ちが特に強かったです。こんなに千秋楽が寂しい舞台は久しぶりでした。毎日毎日新鮮に楽しくて、苦しくて、面白くて、ジェットコースターに乗ってるみたいでした。ほんと楽しかったー!!!オオバヤシくんだけ急にめちゃくちゃ長くなるんですが、一番特別で一番好きで一番観ていてそれだけ考えていた時間も長いのでご容赦ください。(?)

 泰江さんは左足を怪我されていると聞いていたのでどう出てくるのか考えていたら車椅子で初見は力技だ!!と思いました。わたしはあんまりショックではなくて、なるほどなーと思っちゃった。でもその怪我が取ってつけたような設定じゃなくてちゃんとお話の最後まで活きるのが面白いし、本当にすごい脚本だなとつくづく感じます。それぞれの登場人物の持つ要素が物語の中でオムニバス的に固まるんじゃなく、点在して絡まっているのであとから繋がっていくのが気持ちいい。初めの方で書いた通りオオバヤシくんは泰江さんの現状が如実に反映されているとのことで、「やりたいことだったはずなんですけど……」と「どんな仕事でも上手くいかないことはあるよ」という台詞が結構ナイフでした(結構ナイフ)。あとオオバヤシくんが母子家庭で、泰江さんも聞くに母子家庭でちょーお母さんっ子(本人談)らしいので「母さん聞いて!」のシーンは重なって仕方がなくて、オオバヤシくんが泰江さんくらいお母さんを大事に思ってたらそんな、しかも病床に臥せっている母親を置いて自殺未遂をしたかもしれないなんて耐えられないのでは……と考えてました。勝手に。そこと発見をしたオオバヤシくんの瞳がキラキラと輝いているのに、顔を上げた瞬間に瞳が翳って、実用化は難しいという判断に至ったシーンに移り変わっているところが好きです。髪と瞼の開き具合で入る光を調整している……。その前の「調査内容オオバヤシ青年について」ははっきり目を開いてるけど内側からの発光はなく、ただ光を反射するガラス玉みたいになっているところも合わせて好きでした。あのコムロ先生と縦に並んでるところ漫画の扉絵っぽくて格好いい。探偵モノみたい!(探偵モノです)

 そういえば「事務所に来ないか、君の身の安全は保証する」と連れて来られたオオバヤシくん、ワダくんが「もしかして誰かに狙われているとか……!?」って口にしたときに3日目くらいからかな?「えっ……?」って神妙に聞き返すようになってて、コイツもしかしてその発想もなかったのにノコノコ病院から出てきたのか!?骨折までしたのに!?!と思ってたんですが(口の悪さイエローカード2枚)、あれって恐らくお母さんが入院して一人暮らし中のオオバヤシくんは「自分が自殺をしないように見張ってくれる人が必要」で、だからコムロ先生について行ったのかもなあ。あの時点でワダくんとマエクラさんとコグレさんにとって転落した原因は事故or事件(不注意or傷害)だけど、オオバヤシくんにとってはもうひとつの可能性があって、それが一番の懸念だっただろうと思うので。オオバヤシくんも一緒に歌ってたから気がつかなかった。いや全然的外れな可能性もありますが。

 ぶっちゃけ記者会見のところでメンソーの社長と吉平がオオバヤシくんをどうしようとしていたのかを洗いざらい喋ったら駄目かなと考えていたんですが、「社長には謝られました」と庇う言葉が出てくる辺りオオバヤシくんの望むところではないのかもなあとも。あとまあ多分流石に(わたしが)野暮。しかし社長にとって自分の弱みを握っているに等しいオオバヤシくんが会社に戻ってくるのは結構恐ろしいのではと思っていたのですが、良く良く考えたら手元に置いておかないと何されるか分かったものじゃなくてそっちの方がよっぽど怖いですね。それなら戻ってきてもらって給与に色つけた方がまだ安心できそうだし(社長はめちゃくちゃ保身的に見えるので……)自分で呼んだのかな。何にせよメンソーで研究を続けることを選んだのはオオバヤシくんで、そこはもう揺るがないと思いますが。

 潜入したワダくんがめちゃくちゃ棒読みなのを聞いたオオバヤシくんがぱかっと口を開けて愕然としていたのがかなり好き。お話のメインではないのでそりゃそうと言えばそうなんですが、ここも配信に入ってなくてちょっと寂しい。そういえばあそこの次のシーンでコグレさんとワダくんがスーツカバー?をバサバサやって見せつけてるのも好きです。かわいい。役に入ったときの、感情が滲み出るどころか感情そのものがそのまま表れているみたいな泰江さんの歌声がすごく好きで、作戦が成功したあとの気まぐれな風があんまり晴れやかなのでそれに胸が打たれて泣きました。今思い出したから唐突に書くんですが(メチャクチャ)コムロ先生が薬を飲むのを皆で見守ってから歌い出す、あの空気感も好きで毎回更に泣いてたなあ。素敵な作品だほんと。

 あとこれはどうでもいいんですが初日もっと元気そうに動く泰江さんを見て泣いちゃうかなと思っていたら、泣いたは泣いたけどオオバヤシくんのかわいさに脳が破壊されて帰ってきたのが忘れられません。しゅごいでしょ!?を当て書きされる29歳男性実は肩幅広め。←これ台本ではすごいでしょ!?だったところが稽古中に噛んじゃってそうなったらしいです。*9いやそっちの方が何なんだ。ざーっつらい♫で明らかに今かわいいと思った人の声が客席から上がるのが面白かったです。でもあれはかわいい。しかしあれだけ凄さを皆に分かって欲しがってた花粉のことを憎むようになってしまったの、面白いけどやっぱりちょっと切なかった。「花粉をこの世から〜」のシーンの表情シンプル獰猛だし。追記ですが浅井さんと千田さんの配信で浅井さんが「(オオバヤシくんは)パピラのことはそれでもかわいいと思ってると思う」って言ってくださっててなんだか嬉しかったです。花粉自体はまあともかくあんなにキラキラ楽しそうに語ってくれたパピラを嫌いになっちゃったんだとしたら悲しかったので……。

 その配信でさせて頂いたこちらの質問なんですが(名前が読みにくくてすみません)、これ「(最終稿での)オオバヤシくんにとって、この世から花粉が消えてしまうのは“嫌なこと”ではないのかな?」という意味でした。浅井さんのノートは拝読していたので元々原案からの流れだったということは理解していたのですが、言葉が足りなかった。でもまあ花粉症が製薬会社とのマッチポンプ説である置いておいても*10日本全土のスギ花粉が殲滅されることは恐らくないだろうし、莫大な利益が生じる発見なのを理解してそっちをとりあえず優先したのかな。あ。わたしは観ながらずっとオオバヤシくんはこんなに好きなパピラの観測が新たにできなくなってもいいのかな?という疑問があったんですが、今書いていてそれってすごく「俳優のオタク」的な視点なのかもしれないなと思いました。研究者の視点で見ればまた違う感覚があるのかも。

 コムロ先生が破ろうとしていた吉平の名刺をオオバヤシくんが手にして破る、というシーンがあって、恐らくベースはコムロ先生に車椅子で近づいてひったくり千切るというものだったのですが、ここも毎公演細かく違ってその瞬間に産まれた情動のまま動いている様がオオバヤシくんの生をリアルに感じられて好きでした。Side by Sideはキャストの方みんなそうで、観ている内に覚えたセリフの聞こえ方も感じ方もその公演によって全然違って、それがセッションみたいで楽しかったんですが。手を伸ばしてコムロ先生が名刺を渡してくれるまで待ったり(その日下手だったので先生の表情は見えなかったんですが、そこですぐ渡さないで逡巡する素振りを見せていたのも良かった)、動く前に「待って」って周りに聞こえるか聞こえないか分からないくらい小さな声でか細く呟いたり、配信であったように車椅子から立ったり(ワダくんが驚きながらオオバヤシくんの体を支えてくれるの大好きです)、特に千秋楽で破ろうとしたコムロ先生の手に手を重ねて一緒に破ったのが一番心に来ました。

 ごめんあとこれだけ言わせて!!記者会見が終わってアケチとコムロ先生の回想に入る前のオオバヤシくんの、抜け落ちた記憶──って歌い出すときの表情や歌声に苦しそう、というか苦しい感情そのものを差し出されているような感覚があって、後半はずっと胸が押し潰されそうになって逆に涙も出てこなかったです。確か16日から歌う前にオオバヤシくんが慟哭するようになっていたんですが(配信の17夜は何度も左膝を叩きつけていてそれもしんどかった)、そうでなくても歌に入れない日に演奏のはんださんがそれを待ってくださっているのが分かって、それって生演奏ならではのことだし、あの瞬間みんなでオオバヤシくんという人間の表現をしてくれていたんだ……みたいな感慨がありました。*11コムロ先生のどこかのシーンでも似たようなことがあって、演奏のことは全然わからないんですがはんださんが役者さんに息を合わせるのもお上手なのだろうなと思います。最後はんださんの話になった。

 

アケチ(演:佐々木崇さん)

 アケT。脳と心のお医者さん。

 佐々木さんは某ショーと新テニミュシリーズ、リビングルームミュージカル、わたしの幸せな結婚で拝見しています。泰江さんと3連続共演で嬉しい。今回もすごく楽しみでした。佐々木さんを拝見した中で一番鮮烈な記憶はやっぱり新テニミュsecondの鬼VS平等院と、リビングルームミュージカルでそんな鬼を演じた岡本さんが歌い、佐々木さんが踊った『エリザベート』の「最後のダンス」です。しなやかに蠢く手足がまるで追い立てるようで、ただただ圧巻でした。あんな目も口も開きっぱなしで1曲聞く(見る)経験って滅多にない。2年前の夏のことですが、結構な頻度で思い出します。

 アケチと言ったらカメラアイ、というくらい大切な設定ですが、かつてその能力のことでコムロ先生に救われたアケチがその能力でコムロ先生(と皆)を救う構図になるの、良すぎる〜〜ッッ あの手帳を拾い上げて記憶するまでの流れ、格好良すぎますよね……。そういえばアケチのスタイル(劇中では「スタンス」と言われていましたが)について言及するようなシーンがありましたが、手帳をファントム20より早く拾えたり人より速く走れそうだったり、そういう佐々木さんならでは、みたいなものがあるとなんと言うか視覚からのリアリティみたいなものが増して、よりキャラクターたちの実存性が感じられる気がします。大丈夫?この感想は時代に逆行してないですか?俳優さんが演じていたキャラクターをキャスト変更することなく、消すでもなく、物語のそれもかなり重要な部分にその存在を関わらせているあたりにもわたしはその実存性を強く感じていて。普通舞台って千秋楽が終わったら全部が幻みたいに消えてしまうのに、まだどこかの世界で生活をしているような、そんな感覚が彼らにはあります。それが嬉しくて愛しい。

 アケチとオオバヤシくんの「君を引き抜いてくれた恩人が企業価値を優先して君を切ることを提案した?なんか矛盾してる」「それがビジネスなんですよ」というやり取りや、「でもオオバヤシくんは進言してたんだよ!?」で結構子どもっぽいことを言うんだなとちょっと意外でした。最初の怪しさからもう少しシビアな人に見えていたので。でも藤原さんFC『ふじけあそなが』の佐々木さんゲスト回配信を視聴して、アケチはとにかく優しいので利己的な人があんまり理解できないのかな〜という印象に。そりゃ脳科学の道にずるずる進むし電話の相手に「大丈夫ですよ、もう大人なんで」と言わされるくらい心配されるかもしれない……。お兄ちゃんちょっと10年も会ってなくて大丈夫ですか?他人の悪意に鈍感というか善性を信じすぎてはいないか?そうやって自分を守ってきたのか?(論理の飛躍) と言ってもなんだかんだ周りにかわいがられてやってそうだけど。電話の相手もその筆頭なのかも。愛され兄弟たち……。最初どうも〜!怪しいで〜す!みたいな感じで出てきたアケチの挙動が全部お兄ちゃんの現状とその周囲に興味津々な弟ムーブだったのがかわいい。後日談で本を読むコムロ先生の後ろにいるアケチが早くページめくってよーみたいな感じで急かし、コムロ先生が鬱陶しそうに眉を顰めながら無視する、というのを隅にあるデスクでやっていたのもかわいかったです。

 そしてやっぱり『水の記憶』という曲。途中ロクちゃんことコムロ先生への悪口をつらつらと並べるアケチの歌声と表情から滲み出るコムロ先生への愛情があまりにも優しく伝わってきて、毎公演心が揺さぶられて泣いてしまうシーンのひとつでした。ここの直前が個人的に今作品で最も摩耗するオオバヤシくんのシーンなのですが、(ただ見てるだけなのに)心身ともに全力疾走したあとのような状態の中でもアケチが記憶に引き込んでくれるので、しっかりアケチやコムロ先生とその関係について思いを馳せることができて良かったです。それでも入りの虫の声みたいなのが聞こえる度にあと2分待って!と思ってたけど。忘れたくても忘れられない『アケチのソロ曲』が「俺は全部覚えてる」という歌詞で終わるのも美しいですよね。きっとアケチにとってコムロ先生からのあの「逃げればいい」って言葉って本当に特別で、留置場での「俺は全部覚えてる。あの日ロクちゃんが差し出してくれた、傘の柄まで」って物語上での役割は伏線かと思いますが、アケチ自身はきっと今更コムロ先生に対して記憶力の良さを誇りたくて言ったわけじゃなくて。“全部覚えてしまう”アケチの、“覚えたくて覚えている記憶”なんだろうなと感じました。取り出したい記憶と言うか。

 あと彼の人物像として、足が他人より速いことを優位に感じない人なんだなあというのをハンデ云々の話を聞きながら考えていました。カメラアイのせいで「出る杭は打たれる」を経験してしまったせいなのかなとも思ったり。日本から出て良かったね……。ラストの「うわーっ!グレコちゃん今のカッコいいもう1回やって!」ってはしゃぎながら真似してるアケチが好きです。かわいい。

 

 脚本についてこちらXでポストしたのとほぼ同じ文ですが、シリーズ物にも関わらず例えば最初にアケチが本を手にして「コムロ探偵事務所エピソードゼロ」と口にする→その後改めて「エピソードゼロが小説である」ということをマエクラとワダの会話で示す→アケチが「エピソードゼロを見た」と言う部分など、 違和感を持つタイミングがシリーズ初見とそれまでの作品を見ている人でズレが生じないように上手く調整されているのでかなり見やすかったです。そういう仕掛けが散りばめられつつお話はしっかりと且つコミカルに展開していくのがすごい。観ていてあそこはどうなったんだろう?この人さっきと言ってること違わない?みたいな引っかかりが全くなく、最後に畳み掛けるように伏線が次々に解消されていくのが気持ち良かったです。浅井さんと千田さんの同時視聴配信を拝見していたとき浅井さんがここ好き!ってたくさん仰ってて、そのツボが全部同じなのでだからこんなに良い作品なんだな〜!って嬉しくなりました。作り手の好きがいっぱい詰まってる作品は最高!

 楽しくて面白くて優しくて、帰ったあとでも思い返すと自然と笑顔になる、そんな舞台でした。このタイミングで観られたことに大きな意味と喜びを感じています。数公演だけあったアフターライブでは3曲披露してくださり、3曲目だけ動画撮影可能でした。これが後生に残らないのは勿体なさすぎる!!と思っていたのでDVDに収録されることになって嬉し〜。DVDも楽しみです。

こちらその3曲目の様子。確かこの回H列のセンターでめちゃくちゃ見やすかったです。動画見たら泣けてきてしまった。コムロ探偵事務所の皆に会いたい。本当にいとしい人たちです。どうかまた会えますように、希望と期待を込めて。

*1:実際は庄兵衛の台詞ではなく森鴎外のエッセイからの引用だったはず

*2:超良い意味です

*3:ここ割と毎日言い回しが細かく違ってて「そう思ってた」の日もありました

*4:「知ってました!?」って聞かれたときも「知ってた」って言ってたはず

*5:ところで車の持ち主がいない問題はどうなってたんだろう

*6:わたしの涙腺は蛇口です

*7:https://x.com/sayachin_asai/status/1760102515100750130?s=20

*8:https://x.com/sayachin_asai/status/1759364351323234306?s=20、1枚目ALTより

*9:泰江和明FC LIVE配信#8より

*10:わたしは花粉症じゃないのであんまり詳しくないんですが

*11:普段からそうなんだろうけど照明さんや音響さんは見えないので

2022年度爪まとめ

今年編。2022年9月〜2023年8月まで。今年と言いつつ年が明けてしまいました。

 

f:id:omaenannyanenn:20240116031646j:image

4週ごとに通っているので周期の関係で9月と言いつつ10月のレボライ直前に。炎を描いてもらうことしか決めてなかった割にかわいく仕上がったな〜と思っています。かわいい。左右同じデザインでもアシメが好きです。

 

アクリルは岩城くんのオタクの子とその友達の坪倉くんのオタクがいたので3人でお名前を作りました。というやつ。

f:id:omaenannyanenn:20240116032042j:image

もうあんまり覚えてないんですけど確かテーマが紙芝居なので基本白ベース、題材になるお話が若草物語と三銃士だったのでなんかそれっぽいかなと思ってアンティークネイルにしてもらったんだと思います。石も三銃士の仲間を意識した色味にできてよかった。

 

泰江さんのバースデーイベント。親指にイベントのロゴを描いてもらいました。ロゴがふんわりお花って感じだったのでそっちの方が雰囲気に合うかな〜と珍しくマット。通っているサロンにただの青のジェルがないことは知っていたので買ってから行きました。そのあと色味をそれっぽく調節してもらった。チェックの部分もベースは同じ青のジェルだったはず。

 

なんかそうらしいです。進撃の巨人に合わせたネイルにしようと思ったんだけどどうしたらいいか全く分からなくて普通に趣味に走っただけのやつ。あとフォロワーの影響でツイードネイルがやりたかった。進撃を知ってる人に泰江さんがマルコになるんだよ〜と言ってはああ……とそれこそどうしたらいいのか分からないような微笑みを返されて来ていたので、とりあえず赤を基調にすることと天使を入れることは決めてました。

 

かわいいやつ。ちょうど現場が被らない時期だったので好きにしました。マグネットが好きだしマグネット+ちょっとしたアレンジはもっと好き。確か親指に乗ってるハートが3Dで薬指のがパーツです。

 

お花が理想以上にかわいくて嬉しかったので全てを大浮かれで載せている。ぽこぽこネイルです。色味が薄いけどそれぞれ黄色と紫のミラー。ぐんにゃりした形がダリっぽいのか?みたいな安直さでやりました。ゴテゴテが続くとシンプルにしたくなるのもあるし他の手が浮かばなかったのもある。

 

耳が飛び出てるのさえ愛しかった。ポチャッコ……。苺は普通に関係ないけど大きいパーツ(ポチャッコ)とのバランスを取るために乗せてもらいました。前回の3Dポチャッコはインスタで見つけためちゃくちゃ上手い方がたまたまオーダー受け付けてたのでお願いしたんですが、今回はサロンで作ってもらいました。よく作ってらっしゃるだけあってかわいい。リボンの下にパールが縦に点々と並んでいるのはタキシード意識です。サンリオ男子のタキシード大好き!!

 

本当に急拵えすぎてあんまり言うことがない。

 

なんか確かこのときこの猫のシールを使いたかったのに持っていくのを忘れてて、どうしようもなかったのであとからシールとパーツを自分で付けた記憶があります。確か左手の親指と右手の人差し指と小指のはず。確か。三毛猫もうちょっとオレンジだよ〜と思ったけど最終的にまあいっかってなったし今もまあ黄色の方が親和性あってかわいいな…クロの色だしな…と思っています。

 

まほステ……。仕事で2週目に行こうと思っていたら3度目のコロナ陽性になってしまい行けず。吟遊詩人役で、吟遊詩人ってなんやねんと思いながらアンティークネイルに。なんかそういうイメージだったので月とか星とかも描いてもらってその上からゴールドのミラーをしてもらっています。ベースは白に青っぽいミラー。この吟遊詩人のビジュがフォロワーに「純欲メイク」って言われてたのまだ好き。

 

f:id:omaenannyanenn:20240116151320j:image

わたしは美世なので(錯乱)柔らかくて大人しくてかわいらしいデザインがいいな〜と思って選びました。フレンチの部分はピンクに近いラベンダーです。小花が桜っぽくもあるのではと思ってお気に入り。親指は余白が出ることを心配してネイリストのマリ(仮名)がリボンを乗せてくれたのですが、ちょっと美世よりメシアっぽくなってしまった。つまり超好きってこと🎵(よかったね)

 

これで今回ラスト。実は上のときからマリ(仮名)の調子が芳しくなかったため、オフとラメグラデと薬指のリボンパーツのみの施術でした。調子が芳しくないのにそれを45分で終わらせるマリ(仮名)ってやっぱり最高……。と、そういう事情で帰宅してからシールだのパーツだのを見よう見まねで付けました。確かこのときもうすぐサーステだ〜と思って浮かれて買ったシールが届いたから入江にしようと思ったはず。入江です。

 

懇ろネイリストのマリ(仮名)は個人サロンをやっていて徐々に回復はしているらしいものの復帰はまだなので、未だに代わるような理想のサロンを探しています。でもオフ込みのやりたい放題で8,000円切ってオフ含む施術が早くて持ち込みをめちゃくちゃ容認してくれてオタクの話ができる(これは別に必須ではない)サロンって他にないよ〜。毎月割と困っている。大阪でいいところあったら教えてください。終わり。